更新日: 2024.10.10 働き方
就職先は固定残業制で「残業が当然」という風潮です。定時で帰るとマズいですか?
今回は、固定残業制の概要と、残業しなかった場合の残業代の扱いについて解説し、定時で帰宅するのは可能かについても考えます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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固定残業制とは
固定残業制とは、毎月の基本給とは別に、あらかじめ定められた残業代もあわせて従業員へと支給する制度です。この、あらかじめ定められた残業代が固定化され毎月必ず支給されるため、固定残業制と呼ばれています。「定額残業制」や「一律残業制」「みなし残業制」など、複数の呼び方がありますが、基本的な内容はいずれも変わりません。
雇用主となる企業側は、従業員に対し、事前に固定残業制を採用していることを伝えるとともに、基本給額と固定残業代についても明示する必要があります。固定残業代に関しては、具体的な金額か、これに相当する時間数の明示が求められます。
時間数も含め、固定残業代を超えた残業が発生した際には、企業は超過分の残業代を従業員へと支払わなければいけません。企業から従業員に対するこれらの内容の明示については、厚生労働省告示の「若者雇用促進法に基づく指針」内にも記載されています。
残業しなくても残業代は支払われる
説明したように、固定残業制は、一定の残業代が支払われることが確定している制度です。実際に残業したかどうかは関係なく、あらかじめ企業側から提示された残業代も含まれた給与が支払われます。
残業をしなかったことを理由に、事前に提示された固定残業代が支払われなければ、それは固定残業制とはなりません。厚生労働省の委託事業である「労働条件相談ほっとライン」に関する告知にも同様の記載があるので確認しておくとよいでしょう。「実際に残業したか否かにかかわらず、毎月、一定時間の残業等の割増賃金を支払うものを指す」と、固定残業制の趣旨が示されています。
定時で帰宅しても問題はない
固定残業制を採用することで、残業が当然という風潮が社内に構築されるケースはあるでしょう。残業を前提として、この制度が取り入れられていると考えられるためです。しかし、固定残業制の趣旨からすれば、必ずしも残業しなければならないわけではなく、また、残業しなくても残業代は支払われます。つまり、定時で帰宅しても問題はありません。
ポイントとなるのは、その日に自分に課せられた業務が終えられているかどうかです。労働契約を結んでいる以上、労働者は企業に労務を提供する義務が生じます。労働契約法における労務提供義務や誠実労働義務と呼ばれるものです(労働契約法第6条、労働契約法第3条4項)。
与えられた業務がまったく終わっていない状態での定時の帰宅は、この義務を遂行しているとはいえない可能性があります。仕事が早く終わったのであれば無理に残業する必要はないものの、固定残業制を採用し残業代を受け取っている以上、必要な残業は行わなければいけません。
固定残業制を採用している企業に就職しても必ずしも残業する必要はない
一定の残業代が基本給にプラスされ従業員に毎月支払われるものとする制度が「固定残業制」です。実際に残業したか否かは関係がありません。固定残業制を採用しているのであれば、残業しなくても事前に提示された残業代を含む給与を受け取れます。
この制度が、残業が当然といった風潮を生み出す可能性は大いにあります。しかし、与えられた業務を完遂し、残業する必要がないのであれば定時で帰宅しても問題はないでしょう。
出典
厚生労働省 労働条件相談ほっとライン
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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