更新日: 2023.09.15 働き方

同じ年収なのに「年間7万円」も手取りが減る場合も!? 9月から「社会保険料」が更新されるしくみを解説

同じ年収なのに「年間7万円」も手取りが減る場合も!?  9月から「社会保険料」が更新されるしくみを解説
9月の給与明細を見ると、今までと給与額面は変わらないのに手取りが変わっていることに気づくかもしれません。その要因の1つは社会保険料が変わるからです。多くの人は社会保険料について意識していないかもしれませんが、基本的な知識があれば思わぬ変化にも納得できるでしょう。
 
本記事では、社会保険料が更新されるしくみを解説します。
御手洗康之

執筆者:御手洗康之(みたらい やすゆき)

CFP、行政書士

4月~6月の残業代月3万円の違いで、社会保険料が年7万円増える!?

社会保険料は自分、会社にとっては従業員の病気やけが、失業などの不測の事態に備えるために納付するものです。具体的には健康保険や厚生年金保険、労働保険などが社会保険料にあたり、会社員の場合、健康保険や厚生年金保険は会社との労使折半となります。
 
社会保険料は、4月から6月の3ヶ月間の報酬に基づいて区切りの良い幅で区切られた報酬(標準報酬月額)にあてはめ、該当する等級から金額を算出します。このようにして決められた社会保険料がその年の9月から翌年8月まで適用されます。
 
4月から6月の報酬で決定する方法は「定時決定」と呼ばれる方法です。ただし、昇給などによって固定賃金に変動があった場合は、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します。こちらは「随時改定」と呼ばれます。
 
計算に使用する報酬は、基本給だけでなく各種手当や残業代なども含まれます。そのため、1年間の総給与が同じでも、4月からの3ヶ月の間で残業代が増加した場合などは標準報酬月額が大きくなるため、社会保険料も多くなることがあります。
 
図表1は、東京都の令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険額表の一部を抜粋したものです。図表1の金額は、労使折半する場合の金額を記載しています。
 
図表1
 

 
※介護保険第2号被保険者とは、40歳から64歳までの方を指します。
東京都 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表より筆者作成
 
仮に標準報酬月額が30万円(22等級)の場合と34万円(24等級)では、報酬額の差が最小3万円なのに対し、社会保険料は年間約7万円の差が生じることになります。
 

【介護保険第2号被保険者に該当しない場合(40歳未満の場合)】

22等級:1万5000円+2万7450円=4万2450円/月×12=50万9400円/年
24等級:1万7000円+3万1110円=4万8110円/月×12=57万7320円/年

 

残業代を減らしたほうが得というわけではない

これだけを見ると、社会保険料が高額になると手取りが減少するため、残業などを減らして、結果的に社会保険料も減らしたほうがいいのかという疑問が生じますが、必ずしもそういうわけではありません。なぜなら、社会保険は病気やけがなどに備えるための保険としての側面を持っているからです。
 
例えば、被保険者が病気やけがで働けずに給料が受け取れない場合の所得補償となる「傷病手当金」や、出産のために仕事を休み給料が受け取れない場合に支給される「出産手当金」などの支給額は、標準報酬月額に基づいて決定されます。そのため、標準報酬月額が大きいほうが手当金も増額されます。
 

社会保険料を理解して給与明細をチェックしよう

9月から社会保険料が更新されるので、給与明細をチェックしてみてください。繁忙期のタイミングによっては社会保険料が増えてしまう可能性があることを覚えておきましょう。来年4月からの働き方を考える材料にもなります。
 
ただし、社会保険料は低くすればよいというものでもありません。社会保険料がどのように決まるのか、何に影響するのかといった概要について把握しておくことが重要です。
 

出典

全国健康保険組合 令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)

 
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級

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