更新日: 2023.09.19 働き方

103万円だけじゃなかった!扶養内で働く人は注意したい「年収の壁」

103万円だけじゃなかった!扶養内で働く人は注意したい「年収の壁」
パートやアルバイトをしたことがある方であれば、「103万円の壁」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。ここでいう「壁」とは、パートやアルバイトなどの非正規雇用者が超えてしまうと、税金や社会保険料が適用されるようになる「年収の壁」を指します。
 
今回は、「103万円の壁」をはじめとした「年収の壁」について、解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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103万円の壁とは

103万円の壁とは、これ以上働くと税金がかかるようになる年収の境をいいます。給与収入が103万円を超えると、税金面で差が出るのですが、ここでいう税金とは所得税のことを指し、所得税は、パートやアルバイトなどの非正規雇用者にも適用されます。
 
ただし、所得税が適用されるのは、103万円を超えた金額分のみになりますので、パートやアルバイトの収入が103万円以下で、加えてほかに収入が何もなければ、所得税はかかりません。これがいわゆる「103万円の壁」です。
 

なぜ103万円なのか

次に、なぜ103万円なのかを解説します。それは、所得税を計算するうえで、控除という仕組みがあるからです。
 
所得税は、1年間の収入から、給与所得控除と基礎控除を引いた金額に課税されます。
 
給与所得控除は、給与所得者に適用され、給与の金額に応じて、一定額が収入から差し引かれる制度で、その金額は最低でも55万円です。
 
また基礎控除は、所得を得ているすべての人に適用され、合計の所得が2400万円以下の場合は、48万円が差し引かれます。
 
つまり、パートやアルバイトの方の多くは、給与所得控除の55万円と基礎控除の48万円が所得から控除されるため、これらの二つを合わせた103万円が「壁」となっているわけです。
 

住民税の壁

実は、所得税の「103万円の壁」以外にも「100万円の壁」があります。これは、住民税が適用される収入の境目です。
 
住民税については、非課税限度額が45万円ですので、給与所得控除の55万円と合わせて、100万円が「壁」になります。
 

壁を超えたらどうなるのか

では、「年収の壁」を超えたらどうなるのでしょうか。まず、100万円を超えると、自身の収入に対して住民税がかかり、次に103万円を超えると、所得税がかかります。これだけならば問題ないと思うかもしれませんが、負担が増えてしまうのは、所得税や住民税だけではありません。
 
例えば、パートやアルバイトをしている方が夫や妻の扶養に入っている場合、扶養者は配偶者控除が受けられます。この制度によって、配偶者の年収の所得税を減らせるのですが、被扶養者の年収が103万円を超えると、適用されません。
 
また、所得を得ている人が親の扶養に入っている場合は、親は扶養控除を受けられます。ただし、こちらも、年収が103万円以下の扶養家族がいる場合のみのため、103万円を超えると、親は扶養控除を受けることができなくなります。つまり103万円の壁を超えてしまうと、収入を得ている本人だけではなく、配偶者や親の支払う税金も増えてしまうのです。
 

社会保険の壁

年収の壁には、ここまでお話しした税金の壁以外にも、社会保険に加入することになる「社会保険の壁」があります。
 
パートやアルバイトをしている方が意識したい、103万円の次の壁は106万円です。年収が106万円を超えるとか、週の労働時間が20時間以上、雇用見込みが2ヶ月以上ある、学生ではないといった要件を満たすと、社会保険に加入する必要があります。
 
従来、パートやアルバイトなどの短時間労働者に、社会保険への加入義務があったのは、社員数501人以上の企業のみでしたが、2022年10月にこの基準が引き下げられて、101人以上の企業となりました。2024年10月からは、51人以上の企業となる予定です。
 

年収の壁を知っておこう

年収の壁を理解していないまま働いていると、税金や社会保険の適用により、せっかく多く稼いでも、逆に家計に負担をかけてしまう場合もあります。
 
いくつか存在する年収の壁をきちんと理解して、配偶者や扶養者と相談しながら、働き方を考えましょう。
 

出典

国税庁 家族と税
厚生労働省 社会保険適用拡大ガイドブック
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1410 給与所得控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1199 基礎控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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