更新日: 2024.10.10 貯金
70歳から90歳まで年金生活になる場合、「貯蓄」はいくら必要?やはり年金だけでは経済的にキツい?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査2022年(二人以上世帯調査)」によると、老後の生活を心配している人の割合は78.5%に及び、その理由として最も多かったのは「十分な金融資産がないから」との回答でした。
そこで今回は、70歳以上のお金事情をまとめました。現に65歳以上の人たちはお金に対して困っているのか、実際いくらの貯金が必要なのかを見てみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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65歳以上の68.5%の人たちが経済的な心配がなく暮らしている
内閣府が発表した「令和5年版高齢社会白書」によると、65歳以上において生活していく上で経済的な心配がないと回答した人の割合は68.5%でした。そのなかで最も多かったのは「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」との声で56.5%でした。
また、高齢者世帯の平均所得金額は332.9万円であり、割合を見てみると150~200万円の世帯が最も多くなっています。年間所得が約330万円と考えたら、70~90歳までの20年間では約6600万円となり、毎月約25万円の収入が得られている計算となります。
平均値で計算しているためあくまで目安金額とはなりますが、多いと感じる人もいるのではないでしょうか。
70歳代の平均貯蓄額は800万円以上
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査2022年(二人以上世帯調査)」によると、70歳代の金融資産保有額と預貯金額は図表1のとおりです。
図表1(金融資産を保有していない世帯を含む)
金額 | |
---|---|
金融資産保有額 | 1905万円 |
預貯金 | 814万円 |
金融資産保有額の中央値 | 800万円 |
※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査2022年(二人以上世帯調査)」各種分類別データより筆者作成
平均額は値が高い世帯に数字が引っ張られるため中央値を参考にすると、70歳代では、800万円ほどの金融資産を保有していることが分かります。
総務省統計局の家計調査(2022年)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における社会保障給付額(年金を含む)は月に22万418円とのことです。そのほかの収入と合わせて実収入は月に24万6237円であり、その額から消費支出と非消費支出の合計を引くと、月に2万2271円が不足することになります。
月に約2万2000円不足するとなると年間で26万4000円、70歳~90歳までの20年間で528万円ほどとなります。
ただし予想される支出のほかにも、医療費や介護費などの費用が追加される可能性を考えると、余裕ある貯蓄額が必要といえるでしょう。
老後資金は早めに準備することが大切
65歳以上の約70%の人が、経済的不安をあまり感じずに過ごしていることが判明しました。さらに、70歳代では平均800万円ほどの貯蓄があるというデータもあります。
ある程度の金融資産や貯蓄があるからこそ、退職後70歳を過ぎても年金でうまくやりくりできているのかもしれません。
将来お金で困らないためには、早い段階で老後資金の準備を始めることが大切です。具体的なライフプランを立てて計画的に貯蓄を進めながら、投資信託や株式などの投資を活用して、資産運用でお金を増やすことも選択肢のひとつとして検討してみましょう。
出典
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査2022年 (二人以上世帯調査)
内閣府 令和5年版高齢社会白書 第2節高齢期の暮らしの動向
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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