更新日: 2024.10.10 働き方
残業代は1分単位で支給される規定ですが、「あなたの仕事が遅いせい」と支払ってもらえません…どうすれば払ってもらえるでしょうか?
そこで本記事では、上記のような理由で残業代が支払われない場合の対処法を紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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仕事の遅延による残業代の不払い
労働基準法の第24条に従って、会社は労働者に賃金の全額を支払うことが義務付けられています。全額と明記されている以上、原則的には残業代も1分単位で支給が必要です。会社側がこれを拒否するなら妥当性のある根拠が求められます。そして、会社の指揮命令のもとで仕事をしている限り、そのスピードが遅いことは理由として認められません。
従業員の仕事の遅れが原因で会社に損害が生じた場合であっても同様です。遅延が通常の業務で起こりうるものなら、残業代の不払いという形で賠償させるのは違法です。
なお、従業員の労働時間は、労働基準法の第32条で1日あたり8時間と定められています。そして、時間外労働に対しては、第37条に基づいて通常の賃金の2割5分以上の割増賃金も支給しなければなりません。これらのルールは、会社の規定や上司の判断より優先されることを覚えておきましょう。
会社との交渉で改善されるケース
上記のように、たとえ仕事が遅くて時間外労働が発生した場合でも残業代は支払われなければなりません。その会社としての義務が果たされておらず、未払い分を請求したいなら、まず上司や経営者と交渉するのが一般的です。
会社が支給を拒むのは違法であるため、その点を論理的に指摘すれば、スムーズに支払ってもらえる可能性があります。従業員に法的な知識があると分かれば、本人による行政機関への働きかけも懸念されるからです。会社にとっては、行政の指導や制裁を受けるほうが痛手になります。そのリスクを回避するために、残業代の請求に応じてくれるかもしれません。
一方、いくら交渉しても一向に状況が変わらないケースも見受けられます。従業員が1人で会社と対立し続けるのは負担が大きいです。このような場合は、社外の相談窓口を利用することも検討しましょう。
どこに相談すればいいのか?
ここで紹介するのは社外の相談窓口として代表的な機関です。上記の交渉前・交渉後のどちらでも利用できます。
・総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーは労働局が運営しており、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づいて助言してくれます。労働基準法などの違反が疑われる場合は、アドバイスだけに留まらず、行政指導を担当する部門に取り次いでもらうことも可能です。また、法テラスや裁判所に関する情報も提供しています。
・労働条件相談「ホットライン」
こちらは厚生労働省の委託事業で、フリーダイヤルで電話相談を行えます。労働関連の法律に関する問題を扱っており、対応するのは専門知識を有するスタッフです。裁判の事例などを踏まえて相談に乗ってもらえて、内容によっては各関係機関の紹介もしてもらえます。
権利があるから大丈夫! ポジティブに解決を目指そう
仕事が遅いことが原因で残業をする場合でも、対価の受け取りに後ろめたさを感じる必要はありません。労働基準法で定められた権利なので堂々と請求しても大丈夫です。とは言え、会社側が素直に応じるとは限らないため、社外の相談窓口も知っておいたほうが対処しやすくなります。
一筋縄ではいかないケースもありますが、泣き寝入りせず前向きに解決の道を探りましょう。
出典
e-Gov法令検索 労働基準法
日本労働組合総連合会 9.業務上のミスに対する損害賠償責任
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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