更新日: 2023.09.28 貯金

老後の貯蓄は2000万円必要って聞くけれど…本当にそんなに必要ですか?

老後の貯蓄は2000万円必要って聞くけれど…本当にそんなに必要ですか?
老後2000万円問題が話題となり、将来のお金に対して、不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
 
実際には、老後に2000〜2500万円が必要といわれています。しかし、「そんな大金は持っていない」「金融資産も期待するほどない」という方も少なくないでしょう。
 
そこで今回は、老後の生活にぜいたくを望まない場合の最低限必要な資金額について、解説します。老後の生活について、漠然とした不安をお持ちの方は、ぜひ最後までお読みください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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老後は年金だけでは足りない?

老後に十分な資金が必要といわれる理由は、社会保障給付費(年金を含む)だけでは、収入が不足してしまうためです。
 
総務省統計局の家計調査(2022年)で発表された、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における、家計収支を見てみましょう。
 
1ヶ月あたりの社会保障給付額(年金を含む)は22万418円であり、そのほかの収入を合わせて、実収入は24万6237円です。対して支出は、生活するうえで必要な消費支出が23万6696万円、税金や社会保険料などの非消費支出が3万1812円であり、合計すると26万8508円です。
 
実収入から支出を差し引くと、2万2271円不足することが分かります。この不足分を、自分たちの資金から補わなければなりません。仮に老後生活を30年間として計算すると、約800万円の資金が必要となります。
 
年金は人によってもらえる金額が異なるため、この不足分には個人差があるでしょう。
 

老後は本当に2000万円以上必要なのか

不足分の金額は、受け取る年金やライフスタイルによっても、大きな差が出ます。さらに、医療費や介護費が追加でかかることを考えると、800万円よりも余裕のある資金が必要といえます。
 
医療費と介護費の平均データを見てみましょう。
 
【医療費】
厚生労働省の調べによると、令和2年度の一人あたりの国民医療費は、65歳以上で年間73万3700円となっています。老後30年間で計算すると、約2200万円かかり、3割負担として考えると660万円必要だといえます。
 
しかし、年齢が上がるにつれて、医療費の自己負担分は減少(70歳からで2割負担、75歳から1割負担 ※現役並み所得者を除く)し、さらに高額療養費制度が活用できることもあって、もう少し負担は減るかもしれません。
 
【介護費】
生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、月々の介護費用は平均8万3000円、介護期間の平均は61.1ヶ月とのデータがあります。そのほかにも、住宅改造や介護用ベッドの購入などに、平均74万円がかかっているとのこと。
 
仮に5年間介護が必要になった場合は、498万円(8万3000円×12ヶ月×5年)+74万円で、572万円かかる計算になります。介護費に関しても、介護保険制度を活用することで、負担額は抑えられることもあります。
 
上記の医療費と介護費を合計すると、660万円(30年間分の医療費)+572万円(5年分の介護費)で、1232万円になります。これに、先述の生活費の不足分800万円を足すと、2032万円となります。老後に2000万円以上が必要といわれる理由は、ここにあります。
 

老後資金は余裕を持って準備しよう

今回の結果より、万が一のことを考えると、老後資金は2000万円以上あると安心できることが分かりました。特に年齢が上がるにつれて、医療費や介護費の負担は増える可能性があるため、年金だけでまかなうことは難しいでしょう。
 
十分な老後資金を用意するには、早めに準備を始めることが大切です。資金は多いに越したことはありませんが、貯蓄や資産運用をするうえでの、ひとつの目安として参考にしてください。
 

出典

厚生労働省 令和2(2020)年度 国民医療費の概況(6ページ 表5 年齢階級別国民医療費)
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要(18ページ 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2022年-)
公益財団法人 生命保険文化センター 2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査(170・173・174ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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