「テレワーク8割以上」と聞いていたのに、入社後「研修のために1ヶ月は毎日出社」と言われました。これって契約違反ではないのですか?

配信日: 2023.10.05 更新日: 2024.10.10

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「テレワーク8割以上」と聞いていたのに、入社後「研修のために1ヶ月は毎日出社」と言われました。これって契約違反ではないのですか?
出社しなくても仕事ができるテレワーク(在宅勤務)に魅力を感じて入社の判断基準の1つとするケースも多いかもしれません。求人票に「テレワーク8割以上」などと記載して採用活動を行う企業も少なくありませんが、もし入社後に初期研修のためにこれから1ヶ月は毎日出社するように言われた場合、契約違反となるのかどうかを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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雇用契約書や就業規則を確認する

テレワーク8割以上と聞いていたのに入社後1ヶ月は毎日出社するように求められ「違法ではないか」と思ったら、まずは次のような記載があるかどうかを雇用契約書や就業規則などで確認しましょう。
 

●完全テレワーク勤務で緊急時をのぞいて出社する必要はない
●1ヶ月のうち80%以上はテレワーク、出社は20%以下とする

 
例えば、従業員と企業の間で以上のような契約を個別で結んでいる場合は、たとえ研修のためであっても毎日出社を求めることは契約違反となるおそれがあります。
 
労働契約法8条において「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と規定されており、別途就業規則が設けられていたとしても、個別契約が存在する場合は個別契約が適用される形となるからです。
 
個別契約を締結していない場合でも、企業が就業規則でテレワーク関連の内容を定めていることもあります。厚生労働省は「テレワークモデル就業規則~作成の手引~」を出していて、テレワークを導入する場合は就業規則に定めたほうが良いとしています。
 
どのような内容が規定されているのかによって対応方法が変わる可能性があり、将来的なトラブル防止や適切な労務管理のためにも、勤務先の雇用契約書や就業規則は必ず確認することをおすすめします。確認方法が分からない場合は総務や人事などの担当部署に聞いてみてください。
 

研修のための1ヶ月間毎日出社は妥当か

ここからは勤務先に一般的なテレワーク規則が設けられている前提で話を進めます。
 
勤務先が定めるテレワーク規定で「業務上の必要性や状況の変化等がある場合は出社を求めることができる」旨の内容が記載されている場合は、従業員から企業に対して完全テレワークを求めることは難しいと思われます。
 
仮にそのような規定がなく、急遽企業が就業規則を変更する場合も労働契約法10条により、次のような内容を判断して合理的なものと認められる必要があります。
 

●労働者の受ける不利益の程度
●労働条件の変更の必要性
●変更後の就業規則の内容の相当性
●労働組合等との交渉の状況
●その他の就業規則の変更に係る事情

 
入社後は社内運営体制の仕組みや業務の進め方など覚えることも多く、テレワークのみだと指導するのが難しいケースも多いかもしれません。今後仕事をする中で取引先だけでなく同僚と業務の引き継ぎなどを行うケースもあるでしょうし、実際に顔を合わせて挨拶しておくと好都合な場合もあります。
 
期限を定めない要求をするのではなく、今回は「研修のため1ヶ月間」と理由や期間を明示していることもあり、従業員に対して不当な要求をしているとは言い難いと思われます。
 

トラブル防止のために

入社面接時に担当者から口頭で説明されたとしても、労働契約の内容は雇用契約書や就業規則の内容で決まります。「そんなことを言った覚えはない」といわれてトラブルに発展することを防止するため、入社時は必ず事前に提示された雇用契約書の内容を確認しましょう。
 
そのうえで万一内容や双方の認識に相違がある場合は、担当者を通じて内容の確認や説明、必要に応じて訂正などの対応をしてもらいましょう。
 
テレワークの有無にかかわらず、会社員として働く以上は、複数人でプロジェクトチームを組んで共同で仕事を行う機会も少なくなく、同僚や周囲への気遣いが必要となることもあります。聞いていた話と明らかに異なる場合は別ですが、そうでないのなら臨機応変に対応する柔軟性も持っておくほうが賢明かもしれません。
 

まとめ

本記事では、「テレワーク8割以上」と聞いていたのに、入社後「研修のため1ヶ月は毎日出社」と言われたら契約違反になるのか解説しました。
 
一般的には研修などの理由やその期間を明らかにする場合、通常ほぼテレワークの働き方でも一時的に毎日出社を求めるのは、契約違反とは言い難いと思われます。就業規則は入社後に変更される可能性があります。「テレワーク8割以上」は何があっても譲れないという場合は、勤務先と相談のうえで雇用契約書に明記してもらったほうが良いかもしれません。
 
※ 2023/10/6 記事を一部、修正いたしました。
 

出典

e-Gov法令検索 労働契約法

厚生労働省 テレワークモデル就業規則〜作成の手引〜

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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