更新日: 2024.10.10 働き方
職場で同僚に「お金を貸して」と迫られます。これは就業規則違反にならないのでしょうか?
企業には、秩序や風紀を守るために必要な規則を設けることが認められているため、勤務先の就業規則に「金銭貸借を禁止する」との旨の定めがあるかもしれません。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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生活費を補填(ほてん)する目的でお金を借りる人が多い
株式会社ビズヒッツの調査によると、「社会人になってから1~3万円を借りた経験がある」という男女496人を対象にアンケートを行ったところ、借金をした理由として最も多かった回答は「生活費の補填」でした。
社会人になると、交際費や自己投資にあてる金額が多くなり、生活費を圧迫してしまうこともあるでしょう。また、実家暮らしの学生が社会人となり、1人暮らしをはじめると、収支のバランスがくずれ、赤字になってしまうケースが考えられます。
同調査には借金をした相手に関するデータもあり、1位が「家族・親族」で47.4%、次いで「カードローン・消費者金融」となっています。4位には「上司・同僚」がランクインしており、7.5%の方が職場内でお金の貸し借りをしているようです。
「飲み会の代金を立て替えてもらい、翌日に返す」というケースであれば、問題になることはほとんどないでしょう。しかし、ひんぱんにお金の貸し借りをしていると、職場の人間関係に支障が出てしまいます。
同僚から借金を頼まれるのはストレスとなりますが、就業規則との兼ね合いはどうなるのでしょうか?
借金の申し出を受けたら就業規則を確認
就業規則において「職場内における金銭貸借を禁止する」旨の定めがある場合、借金を頼んでくる社員は懲戒の対象となり得ます。
就業規則を定める目的は「職場内の秩序を守る」ことです。職場内での借金が横行(おうこう)すると、人間関係が悪化したり、人事評価において公平さを欠いてしまったりと、さまざまなトラブルが起こりえます。
また、人間関係のストレスから仕事の生産性が落ち、借金問題がエスカレートすると暴力ざたなど、法的なトラブルが起こる可能性も否定できません。
実際に、独立行政法人労働政策・研修機構による最高裁での事例においても「企業は、企業秩序の維持確保のために、必要な規則を定めたり、具体的に労働者に指示や命令を出したりすることができ、企業秩序違反行為があった場合には、当該行為に対して懲戒(ちょうかい)処分を行うため、事実関係の調査をすることができる」と判示しています。
就業規則において金銭貸借を禁止するのは問題なく、実際に就業規則違反をした社員に対しては、規則に応じた懲戒を行うことが可能です。もし同僚から借金を頼まれて困っているときは、まず、就業規則を確認しましょう。就業規則に職場内における借金を禁止する旨の定めがある場合は、上司やトラブル対応を行っている窓口に相談することが大切です。
まとめ
勤務先の就業規則にお金の貸し借りを禁止する旨の定めがある場合、借金の申し出をした社員は懲戒の対象となりえます。もし同僚や上司から借金を迫られて悩んでいるなら、就業規則を確認しましょう。
また、「生活費が足りない」と悩んでいる人にはつい、同情してしまいますが、迂闊(うかつ)に貸し借りをしないことが大事です。職場にお金を無心してくる人がいる場合は、規則を確認したうえで行動することが大切です。
出典
株式会社ビズヒッツ 【社会人になってから1万円~3万円のお金を借りた理由ランキング】496人アンケート調査
独立行政法人労働政策研究・研修機構 (64)【服務規律・懲戒制度等】調査協力義務
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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