更新日: 2023.10.20 働き方

固定残業代が40時間4万円です。安い気がしますが、地域の最低時給が1000円なので妥当なのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

固定残業代が40時間4万円です。安い気がしますが、地域の最低時給が1000円なので妥当なのでしょうか?
こちらの会社では「固定残業代は40時間4万円」となっています。これを時給換算すると、1時間当たり1000円です。地域の最低時給が1000円の場合、これは妥当といえるのでしょうか。また、残業代が「固定残業代は4万円」と決まっている場合、それに従わないといけないのでしょうか。そこで、本記事では、残業代の考え方について解説していきます。
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残業代とは?

最低賃金法にもとづいて、国では賃金の最低限度額を定めています。会社側は、従業員に対して、その最低賃金額以上の賃金を支払わなくてはなりません。最低賃金額は各都道府県によって異なります。厚生労働省の令和5年度地域別最低賃金改定状況によると、全国でもっとも最低賃金額が高いのは東京都で、時給1113円です。
 
この最低賃金は基本給だけでなく、時間外労働を行った場合の残業代にも反映されます。そのため残業代も、最低賃金を下回ってはいけないのです。この場合、地域の最低時給が1000円のため、なんら問題がないようにみえます。
 
しかし、残業代について、会社は従業員に対して割り増しして支払う義務があります。 時間外労働による「割増賃金」は、通常の賃金の2割5分以上と定められています。例えば、基本給1時間当たり1000円で働いていた場合、残業代は1時間当たり1250円以上です。
 
ちなみに、労働基準法によって、法定労働時間は1日8時間1週40時間と定められています。これを超える時間外労働をする場合は、残業代として「割増賃金」の対象です。
 
休日労働や深夜業をした場合も割り増し料金が発生します。休日労働とは、労働基準法によって決められた法定休日に働くことです。法定休日は、曜日は決まっておらず、週1日または4週を通じて4日とる必要があります。休日労働を行った場合の「割増賃金」は、基本給の3割5分以上と定められています。
 
深夜業とは、22時から翌日5時までの間に働くことです。深夜業を行った場合の「割増賃金」は2割5分以上です。実は、こうした「割増賃金」は重複して発生するケースがあります。
 
例えば、22時から翌朝の5時までの間に残業した場合、時間外労働の割り増しの2割5分+深夜業の割り増しの2割5分=5割以上の「割増賃金」が発生します。つまり、通常1時間1000円の場合、1500円になる計算です。
 

固定残業代の場合は?

あらかじめ残業代が決まっていることを「固定残業代」といいます。「固定残業代が40時間4万円」と定められている場合、「割増賃金」は発生しないのでしょうか。
 
実は、固定残業代についても「割増賃金」が必要となっています。固定残業代が40時間4万円の場合は、1時間当たり1000円です。この金額は地域の最低時給のため、「割増賃金」は含まれていないことになります。1時間あたり1250円以上の残業代を請求しましょう。休日労働や深夜業をした場合は重複して請求することが可能です。
 

固定残業代にも割り増し料金が必要

時間外労働には「割増賃金」が発生します。これは固定残業代としてあらかじめ賃金が決まっている場合も同様です。固定残業代が40時間4万円の場合は、1時間当たり1000円です。この金額は地域の最低時給のため、「割増賃金」が含まれないことになります。「固定残業代が4万円」という会社は、妥当であるとはいえないでしょう。
 

出典

厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧

厚生労働省 最低賃金制度の概要

厚生労働省 法定労働時間と割増賃金について教えてください。

厚生労働省 固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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