転職先で「入社前の研修」があるのですが、入社前でも賃金は支払われるでしょうか? 質問したら印象が悪くなりそうで不安です
配信日: 2023.10.21 更新日: 2024.10.10
また、労働中にけがをしてしまうと労災になり給付の対象となりますが、研修中にけがをしても入社前なので労働時間とはいえず、賃金や労災保険の給付はないようにも思えるので気になるところです。
そこで本記事では、入社前の研修は労働時間に該当するのかについて解説していきます。研修でけがをしてしまった場合に労災になるのかについても紹介するので参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
そもそも労働時間とは?
入社前の研修が労働時間に該当するかを考えるためには、労働時間とは何なのかを知る必要があります。
労働時間は「使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことです。使用者の指示によって拘束されている時間が労働時間であるといえます。この際の指示は黙示であってもよく、口頭で指示を伝えられていなくても事実上労働を強制するような場合も対象です。
研修については「業務上義務づけられているか」が労働時間か否かの判断基準となります。強制的に参加が義務づけられているものや強制的でなくても参加しないと評価が下げられるようなものは労働時間です。
入社前の研修は労働時間に該当する?
入社前の研修についても「使用者の指揮命令下にあるか」、「強制的な参加となっているか」、「強制的でなくても参加しないと不利益を被ってしまうか」といった点が基準となります。これらに該当している場合は労働時間として賃金が支払われなければいけません。賃金が支払われない場合は労働基準法違反となります。
自由参加の入社前研修であれば、労働時間には該当しないといえるでしょう。
入社前の研修でけがをした場合
労働時間として認められる入社前の研修でけがをしてしまった場合は労災になるのでしょうか? 労災になる場合は労災保険からの給付が受け取れるはずです。
労災保険は業務が原因でけがをしたり、病気になったりした場合に国が事業者に代わって給付をしてくれる制度です。通勤途中の事故なども給付の対象となります。労災と認められるためには労働者性や業務遂行性があることが必要です。
研修への参加が義務付けられ、賃金も支払われる場合は労働者性があると考えられます。また、使用者の指揮命令下にある場合は業務遂行性があるといえるでしょう。このような場合は労災として認められる可能性があります。
しかし、研修への参加が任意の場合や使用者の指揮命令がないとされる場合は労災と認められない可能性が高いです。
入社前研修でも賃金の支払いや労災保険の給付の可能性はある
入社前の研修であっても労働時間と認められれば賃金の支払いが発生します。労働時間として認められる基準について覚えておきましょう。
また、労災保険についても労働者性や業務遂行性があると認められれば給付の対象となります。まずは入社前の研修についての説明があった際に賃金や労災保険のことについて確認することをおすすめします。これらのことを確認しただけで解雇されるなどの不利益を被ることはありません。万が一不利益を被った場合は労働基準法違反となります。
入社前から賃金や残業のことについても確認するようにしてください。
出典
厚生労働省 労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー