更新日: 2024.10.10 働き方
働き方改革で給与が激減した? 生活費を稼ぐために残業をしていた人の末路とは
その対策のひとつとして2019年に働き方改革関連法が施行され、時間外労働の上限規制が導入されました。大企業は2019年、中小企業は2020年からすでに導入されています。建設業や自転車運転業務への適用が2024年4月と迫るなかで、生活残業の問題が顕在化してきています。
本記事では、顕在化している生活残業の実態や、実際に残業時間が抑えられてどのような影響が出ているのかについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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基本給の水準が低く生活費のために残業する「生活残業」が問題に
生活残業とは、従業員が生活費を稼ぐために必要以上の残業をすることをいいます。「仕事をこなすため」ではなく、「残業代を稼ぐため」が主目的となっている残業をイメージしてみてください。
生活残業によって一時的に給与は増えますが、プライベートな時間が減るうえに、健康を害する懸念があります。また、心身を消耗した結果、効率的な働き方ができなくなるなど、デメリットも少なくありません。
生活残業が常態化してしまう背景には、従業員の切羽詰まった経済事情や、労働時間の長さで評価する組織風土の影響などがあります。
株式会社識学(東京都品川区)が2023年7月に、従業員数10名以上の企業に勤める20~59歳の会社員300名を対象に行った「残業に関する調査」の結果によると、約半数の人が「残業をするためにダラダラ仕事をする人がいる」と答えています。また、今回の調査で残業をしている人が稼いでいると思うと回答したのは、全体の6割以上にも及ぶことが分かりました。
残業したい理由として「残業代無しでは生活が苦しいから」「給料が増えるから」という結果からも、「できれば残業はしたくないものの、基本給だけでは生活できない」という厳しい経済事情が推測できます。
また、生活残業をあらかじめ見込んだ収支計画を立ててしまい、経済的に困ってしまうケースも存在します。具体的には、住宅ローンの返済の際に、固定収入のなかに残業代を含めて考えていた場合です。
月80時間生活残業をしていた正社員が、上限規制でどの程度年収が下がるのか
残業代の削減は、中小企業だけでなく大手企業で働く高年収の会社員にも大きな影響を及ぼしています。
金融機関に勤めるAさんは40代後半の男性で、月80時間の残業で年収1400万円、月収70万円を稼いでいましたが、4年前の家賃補助の打ち切りをきっかけに都心近くのマンションを8400万円で購入しました。
生活残業をあらかじめ見込んだ収支計画をベースにしていましたが、2年後に働き方改革が行われます。月80時間の残業時間が10時間以内に制限され、給与も月収40万円と半分近くまで減ってしまいました。
次第に住宅ローンを滞納するようになり、銀行から届いた一括請求の督促状にはローン残債7000万円に加えて、年14%の遅延損害金が課せられたことに驚きます。結果的に8400万円のマンションを7000万円で売却して、遅延損害金を含めた借金をすべて返済できずに、親戚から1000万円を借りて返済したそうです。
Aさんのエピソードは、働き方改革で残業が規制された現在、残業を前提とした収支計画を立てることの危険性を物語っています。
まとめ
残業代が今後の生活費として当てにすることができなくなった今、会社員は残業代に代わる新たな収入源を見つけることが急務です。具体的には、転職活動を通じて給与のベースが高い企業を探すこと、副業を始めることが挙げられます。
転職活動は積極的に転職エージェントなど、転職の専門家に相談するとよいでしょう。また、残業をしなくなった時間で、手軽に始められるSNS運営やせどりなどの副業を始めることも有力な選択肢となります。
近年は副業を認める企業も増えているため、自分に合った方法で収入を増やすための取り組みを進めていきましょう。
出典
株式会社識学 残業に関する調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー