更新日: 2023.10.30 働き方

パート先で有休を申請したら、「代わりに土曜に出勤して」と言われました…シフト制だと有休は取れませんか? パートだから取れないのでしょうか?

パート先で有休を申請したら、「代わりに土曜に出勤して」と言われました…シフト制だと有休は取れませんか? パートだから取れないのでしょうか?
パートで働いていると、有休(年次有給休暇)を取りづらいと感じることもあるでしょう。しかし有休を取得する権利は正社員だけのものではありません。
 
本記事では、パートの有休について、取得できる条件や日数、有休を取りづらい事情や対処法などについて解説します。
橋本典子

執筆者:橋本典子(はしもと のりこ)

特定社会保険労務士・FP1級技能士

パート勤務でも有休が取れる

パートで働いている人も、一定の要件を満たせば有休が付与されます。たとえ勤務日数が週1日だけのパート勤務でも、有休を使う権利が発生するのです。
 

有休の付与要件は

有休は、次の要件を両方とも満たせば、労働基準法第39条により当然に付与されます。


・入社から6ヶ月間、継続勤務した
・全労働日(所定労働日)の8割以上働いた

ここでいう全労働日(所定労働日)は会社全体の労働日ではなく、個人の労働日を指します。つまり、働く契約になっている日に私用などによる欠勤がなければ、全労働日の10割勤務したことになるのです。
 

パートの有休付与日数

週5日勤務のパートの場合、入社6ヶ月後に「10日」の有休が付与されます。さらにその1年後(入社から1年6ヶ月後)には「11日」が付与され、1年経過するごとに最大20日まで付与日数が増えていきます(図表1)。
 
一方、週の所定労働日数が4日以下かつ週の所定労働時間が30時間未満のパートの有休付与日数は、所定労働日数に連動して変わります。
 
例えば入社後6ヶ月経過したとき、週の所定労働日数が4日のパートには「7日」の有休が付与されますが、所定労働日数2日のパートに付与されるのは「3日」です。なお所定労働時間が週以外の単位で決められているパートは、年間所定労働日数により判断します(図表1)。
 
図表1

図表1

厚生労働省 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています
 

パートの有休は取りづらい?

パートにも有休が付与され、休む権利があるにもかかわらず、有休取得を言い出しづらい側面があるようです。その原因を考えてみましょう。
 

そもそも年次有給休暇とは

休暇とは「労働を免除された日」をいいます。労働義務のある日に、労働することなく賃金を受けられるのが「有休」の制度です。
 
逆にいえば、有休を取得できるのは「労働義務のある日」のみということです。会社の公休日である日曜日に「有休をください」と言うのはおかしいでしょう。
 
もともと働く義務のない日に、休みたいという理屈が通らないからです。そしてこの「労働義務のある日が曖昧(あいまい)なこと」が、パートの有休を取りづらくしている一因かもしれません。
 

パートの有休が取りにくい事情1「労働日が定まっていない」

パートで働く人の中には「週2日程度」「シフトによる」のように、労働すべき日が明確に決められていないケースが少なくありません。
 
こうした契約のもとでは、「何月何日に有休をください」と取得日の指定がしにくいものです。さらにシフト制の場合は、いったん決まったシフトに穴を空けにくいといった事情も出てきます。
 

パートの有休が取りにくい事情2「パートにも有休があることが知られていない」

また「パートの有休についてよく知られていない」という事情もあります。特に小規模な会社の場合、経営者や担当者が「パートにも有休付与の義務がある」ことを認識していないこともあるのです。
 

どうやったら有休が取れる?

まず相談しやすい上司に、パートの有休について尋ねてみましょう。前述のとおり、上層部がパートの有休について詳しくないだけの可能性もあるため、穏やかに問題提起することで状況が変わる可能性もあります。
 
また、形式的に有休が付与されていても、パートの所定労働日が曖昧(あいまい)なために、実際には有休が取りづらくなっている会社もあります。その場合は、契約更新時などに所定労働日をより明確にしてもらうことも効果的かもしれません。
 

まとめ

働く人にとって休みは大切です。休むことで働く気力と体力のリフレッシュが期待できます。年次有給休暇は、労働基準法上、当然に与えられる権利です。もしパートの有休が取りづらい会社であるなら、少しずつでも休みを取りやすい環境を作っていきましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています
厚生労働省 いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項
 
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士

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