更新日: 2024.10.10 働き方

「管理職は給料が減る」は本当? 責任のない仕事を求め続けた社員はどうなる?

「管理職は給料が減る」は本当? 責任のない仕事を求め続けた社員はどうなる?
課長や部長など、管理職になると残業手当の支給がされなくなるケースが多いです。管理職となる前に残業手当を多く稼いでいた人の場合、管理職への昇進は「実質的な減給」となりえます。
 
実際に、20代の多くは「管理職になりたくない」と考えており、出世するメリットを感じていません。本記事では、昇進して管理職になると給与が下がる仕組みや、昇進を断ることによるデメリットについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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管理職になると給与が下がる仕組み

管理職になると、残業代が支給されなくなるケースがほとんどです。労働基準法の第四十一条二号で、「管理監督者は労働基準法に定められた労働時間・休憩・休日の規定が適用されない」という定めがあるためです。
 
厚生労働省は「管理監督者に当てはまるかどうかは役職名ではなく、その社員の職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇などを踏まえて実態により」判断するとしています。
 
管理監督者は「管理職」ともよばれ、具体的には「課長」「統括」などの役職に就いている人は、管理職として扱われることが多いでしょう。実際に管理職として勤務している場合は、残業手当が支給されなくなることが多いです。
 
代わりに「役職手当」が支給されることはありますが、役職手当が以前までもらっていた残業手当を下回ると、実質的に減給となります。
 

出世を望まない20代が大半を占めている

東晶貿易株式会社(東京都港区)が運営する転職メディア「転職サイト比較plus」が 2022年6月、全国の20~29歳の男女2327人に対して行った「出世欲に関するアンケート」では、「将来役職者になりたいと考えますか?」という問いに対して、「いいえ」と答えた人の割合が77.6%でした。
 
この結果から、約4人に3人が役職者になることに対し、抵抗感を示していることが分かります。「なぜ出世したいと思わないのですか?」という問いに対して、多かった回答上位3つは下記のとおりです。


・1位:責任のある仕事をしたくない
・2位:プライベートを大事にしたい
・3位:目立ちたくない

責任が大きい仕事をこなすことに、抵抗を示す人が多い結果となりました。実際に、自分の上司が責任のある仕事を任せられており、プライベートの時間を十分に確保できていない様子を目の当たりにしている人が多いのでしょう。
 
管理職になると実質的に減給となるケースもあることから、「管理職になると仕事が増えて給料が減るから、メリットがない」と考えるのも無理はありません。「自分の時間を大切にしたい」という価値観をもっている方の場合、なおさら管理職になるメリットは薄いでしょう。
 
しかし、業務命令としての昇進を拒否した場合、気を付けるべきポイントがあります。
 

昇進を拒否し、責任のない仕事を求めるリスク

管理職になると、仕事の責任が増えるうえに、実質的に減給となるリスクがあるのは確かです。しかし、昇進を拒否して責任のない仕事を求め続けることによるリスクについても、押さえておく必要があります。
 

昇進を拒否すると業務命令違反になることも

昇進を拒むと、業務命令違反となる恐れがあります。労働契約や就業規則において、会社が人事権を行使する一環として「昇進があり得る旨」が明記されている場合、正当な理由なく昇進を拒むと業務命令違反となる可能性があるため注意が必要です。
 
ただし、昇進を拒否したからといって「即、懲戒処分」というのは現実的ではありません。企業側としては、説得を通じて管理職への昇進を受け入れるように交渉するのが、一般的な流れでしょう。
 
なお、労働契約法第15条には「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」という定めがあります。
 
例えば、単に管理職への昇進を拒んだことに対して「懲戒免職処分」を課すのは、社会通念上相当とはいえません。しかし、労働契約や就業規則に所定の定めがあるにも関わらず、頑固に「管理職に絶対になりたくない」と主張すると「戒告」などの懲戒対象となりえます。懲戒を受けると、程度の差こそあれ、キャリアに悪影響を及ぼしてしまうリスクがあります。
 
「将来は管理職になりたくない」と考えている方は、職場における就業規則などのチェックと、管理職を断ることで被るリスクを冷静に考えることが大切です。
 

「使えないヤツ」と思われる恐れがある

昇進を拒否して、結果的に管理職にならずに済んだ場合でも、周囲から「使えないヤツ」と思われる恐れがあります。
 
年功序列の企業でも、管理職に昇進させる社員は「仕事ができる」「管理者を任せられる」という一定の評価を得ているケースが多いでしょう。定年まで管理職に就かず、いつまでも平社員や主任クラスにいると「あの人、あの年で管理職じゃないってことは、問題がある人なのかも」と思われても不思議ではありません。
 
また、自分以外の同期全員が管理職になると、劣等感をもつこともあるでしょう。「周囲の目は一切気にしない」という強いマインドをもっている人でないかぎり、居心地の悪さを感じてしまうリスクも考える必要がありそうです。
 

まとめ

管理職になると、仕事が忙しくなるうえに実質減給となるケースもあるため、「管理職になりたくない」「出世したくない」と考えてしまうのも無理はありません。しかし、管理職への昇進を拒み続けることで被るデメリットやリスクがある点にも留意しましょう。
 
管理職としての仕事内容やライフスタイルへの影響だけでなく、その後のキャリアに関しても真剣に考えることが大切です。
 

出典

e-gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 しっかりマスター 管理監督者編
東晶貿易株式会社 出世欲に関するアンケート
e-gov法令検索 労働契約法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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