有休が去年は「10日」だったのに、今年は「6日」しか付与されなかった! 遅刻も欠勤もしてないのになぜ? 理由を解説

配信日: 2023.12.07 更新日: 2024.10.10

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有休が去年は「10日」だったのに、今年は「6日」しか付与されなかった! 遅刻も欠勤もしてないのになぜ? 理由を解説
頑張って働いている人にとって、有休(年次有給休暇)は大切なリフレッシュの日。長く働くにつれ、もらえる有休が増えていくのはうれしいものです。ところで、勤続年数とともに増えていくはずの有休付与日数が、途中で減少することはあるのでしょうか? 本記事では、パートの有休付与日数と、付与日数が減少する例について説明します。
橋本典子

執筆者:橋本典子(はしもと のりこ)

特定社会保険労務士・FP1級技能士

パートの有休付与日数

有休は「6ヶ月間(次年度以降は1年間)継続勤務し」、かつ「全所定労働日の8割以上出勤した」場合に付与されます。この条件はフルタイムで働く人もパートで働く人も同じです。では、有休付与日数についてはどうでしょうか?
 

パートの有休は週所定労働日数による

パートに付与される有休の日数は、週所定労働日数によって異なります。図表1は「週所定労働日数が5日以上、または週所定労働時間が30時間以上」の場合の付与日数です。
 
図表1
 
有休付与日数基本
 
厚生労働省 労働基準法の基礎知識
 
図表2は「週所定労働日数が4日以下」のパートに付与される有休日数です。週所定労働日数が少なくなるにつれて、有休付与日数も減少していきます。
 
図表2
 
有休週4日以下
 
厚生労働省 労働基準法の基礎知識
 

有休の日数が決まるのはいつ?

入社後、最初の有休が付与されるのは、入社日から6ヶ月を経過した日です。例えば4月15日に入社した人は、10月15日に最初の有休が付与されることになります。付与日数は、週所定労働日数が4日の場合は「7日」、週所定労働日数が2日の場合は「3日」です。
 
さらに1年後、つまり入社から1年6ヶ月たったときには、週所定労働日数が4日の人は「8日」、2日の場合は「4日」と、勤続年数が増すごとに有休付与日数も増えていきます(図表2)。
 
ところで、継続勤務していて、かつ欠勤していないのに、有休付与日数が減ることはあり得るのでしょうか?
 

所定労働日数が変わると有休はどうなる?

欠勤することなく継続勤務していても、有休付与日数が減少することはあり得ます。それは所定労働日数が変更された場合です。
 

有休付与日数は基準日の契約内容で決まる

長く働いていると、個人的な事情などにより所定労働日数や所定労働時間が変わることがあるでしょう。週5日勤務だったパートが週3日勤務になったり、週2日勤務だった人が週4日働くようになったりする場合です。
 
契約変更により所定労働日数などが変われば、有休付与日数も変わります。そして付与日数が変わるタイミングは「契約変更後、最初に迎える基準日(有休が付与される日)」です。基準日にどのような条件で働いているかによって、有休付与日数が決定されるのです。なおすでに付与された有休は、所定労働日数の減少を理由に消滅することはありません。
 

有休付与日数が減るケース

では、契約変更により有休付与日数が減少する例をみてみましょう。契約変更により週所定労働日数が4日から2日に変わった場合、有休付与日数は図表3のようになります。
 
図表3
 
付与日減少
 
厚生労働省 労働基準法の基礎知識より筆者作成
 
・入社3年6ヶ月経過時点の所定労働日数は週4日だったため「10日」が付与されました(図表3の青い線の部分)。

・その後、週所定労働日数が2日に契約変更されたため、変更後最初の基準日(入社4年6ヶ月経過時点)に「6日」が付与されました(図表3の赤い線の部分)。
 
以上のように、継続して働いていても有休付与日数が減少することがあります。そしていずれ所定労働日数が増えれば、有休付与日数もまた増加します。なお労働契約の内容が変わっても、同じ会社で働く限り勤続年数はリセットされません。これはパートから正社員になったり、定年退職して再雇用されたりする場合も同様です。
 

まとめ

長く働いていると、所定労働日数や所定労働時間が変更されることがあります。またパートから正社員への転換など、同じ会社内で働き方が変わるのは珍しいことではありません。このような場合でも勤続年数はそのまま通算され、基準日時点の契約内容によって有休が付与されます。このように有休の権利が継続していくのは、心強いものですね。
 

出典

厚生労働省 労働基準法の基礎知識

厚生労働省静岡労働局 労働局Q&A年次有給休暇関係

 
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士

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