更新日: 2024.10.10 働き方
私が打ったレジの「収支が合わない」からと「差額」を請求されました…支払うべきでしょうか?
レジの収支が合わないときに、従業員に差額を支払わせることは不当ではないのでしょうか。
本記事では、労働基準法第十六条に触れて、従業員に金銭的な責任を負わせることの違法性について、詳しくご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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レジの収支が合わないときの差額は従業員が支払うべきなのか?
レジの収支が合わなくなる原因には、さまざまなものが考えられます。
「金額を間違えて入力した」「お釣りを間違えて渡した」「商品を重複して登録した」など、人為的なミスももちろんあり得ますが、レジの故障や、ほかの従業員による盗難などの可能性もないとはいえないでしょう。
いずれにしろ、故意に盗んだのではない限り、レジの収支が合わない場合は、従業員一人の責任ではなくて、お店全体の責任であるという考え方が一般的です。ましてや、合わない分の差額を従業員に支払わせることは、違法行為に該当します。
労働基準法第十六条では、「賠償予定の禁止」について「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めています。これは、「労働契約を結ぶうえで、従業員に違約金や損害賠償金の支払いを請求することを禁ずる」という内容の決まりです。
つまり、レジの収支が合わなくても、その差額をレジ担当の従業員に自腹で支払わせることは法律で認められない可能性が高く、差額分を従業員の給与から天引きすることもできないケースがほとんどです。
労働基準法第二十四条では、賃金の支払いについて「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められています。
職場におけるミスは職場全体の責任としてとらえる必要がある
レジの収支が合わないなどの職場におけるミスは、一人の従業員の責任にはせずに、職場全体の責任とする考え方が一般的です。仮に人為的なミスが原因であっても、従業員に研修を受けさせるなどの対策をしていなければ、それは職場の責任ということになります。
また、釣り銭の計算が自動で行われる自動精算機を導入すれば、「レジの収支が合わない」という事態も起こりにくくなるでしょう。そのような機械を導入しない会社側にも、責任はあると考えられます。
従業員だけに責任を負わせる職場には注意が必要
レジの収支が合わなくても、その責任は、担当スタッフだけが負わなければならないものではありません。もし、差額分を自腹で支払うように請求されたら、違法行為であることをはっきり伝えましょう。
自分で伝えることが難しい場合や、伝えても改善されない場合は、労働基準監督署などに相談することも検討したほうがよいでしょう。会社に対して指導勧告をしてくれる場合もあるため、職場環境の改善が期待できます。
出典
デジタル庁 e-Gov法令検索 労働基準法 第十六条、第二十四条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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