更新日: 2024.10.10 働き方
就職して3年経ちましたが、一切の昇給がありません。これって違法ではないですか?
たとえば、就職から3年経っても一切アップしなければ、法的に問題がないのか疑問に思うこともあるでしょう。納得できない状態では、勤務の態度やパフォーマンスなどに悪影響が出かねません。
そこで本記事では、昇給がないことに関して、違法性の有無や具体的な理由を紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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昇給の主な種類や実施の割合
一口に昇給といっても複数の種類があります。給与は上がっていくのが当然と考えている人は、定期昇給をイメージしていることが多いでしょう。定期昇給とは、勤続年数や年齢を基準とする自動昇給など、毎年一定の時期に給与が上がることを指します。
厚生労働省の「令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」に定義が書かれており、関連するデータも掲載されています。これによると、一般職の定期昇給を制度化している企業は令和4年の時点で全体の78%でした。
ただし、制度化していても、必ずしも実施するわけではありません。同年中に実施した企業や実施予定と答えた企業は全体の74.1%です。また、昇給以外に給料が引き上げられるパターンとして、ベースアップがあります。ベースアップとは主に、労働組合との交渉や、特別な成果を考慮した場合などに実施されます。
昇給が実施されない場合の違法性
企業が個人と労働契約を結ぶときは、労働条件の一つとして賃金の詳細について説明しなければなりません。一般的には昇給の話も含まれますし、厚生労働省が作成した「モデル就業規則」にも昇給の項目があります。そのため、どの企業に勤めても給与は上がるものだと勘違いされがちです。
しかし、実際は項目の内容に関する決まりはなく、「昇給なし」と定めている企業もあります。昇給の実施を確約する記載がない場合、ずっと給与が上がらなくても違法とはいえません。
「昇給は年に1回」と記載されていても、「評価によっては見送り」といった注意書きがあるケースも多いです。このような就業規則の場合も、昇給の実施は必須でないと解釈できます。
従業員や企業によって理由はさまざま
上記のように、労働契約の内容や会社の実績、従業員への評価などが原因で給与が上がらないことは珍しくありません。しかし、それが長く続くのは、企業にとっても望ましくないため、改善に向けたアプローチが必要です。
また、昇給がない基本的な理由として、企業に人件費を増やす余裕がないことも挙げられます。強引な実施で経営状況が悪化した結果、給与を支払う余裕がなくなると本末転倒です。
なお、別の手段で利益を還元しているからという理由で、給与を上げないケースも見受けられます。たとえば、成果に対する報酬のインセンティブを高く設定することもその一つです。賞与の計算に使う月数を多くするという方法もあります。このように、昇給がない理由は企業や個々の従業員によってさまざまです。
昇給がないなら自社の実情もチェックしよう!
給与がアップしなくても、それだけで違法かどうかは判断できません。労働契約書や就業規則にしっかり目を通すことが大切です。昇給が確約されていなければ、いくら要求しても通らない可能性があります。
また、企業の経営状況や利益還元の手段を知ると、昇給がない理由が分かる場合もあるでしょう。気持ちよく働くためにも、この機会に自社の実情を調べて、不信感や疑問を解消しておくのが得策です。
出典
厚生労働省 令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況
厚生労働省 モデル就業規則
デジタル庁 労働基準法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー