更新日: 2024.10.10 家計の見直し
30歳で一人暮らし。毎月「2万円」の赤字で、ボーナスに頼って生活しています…「この先ボーナスが出なかったら」と考えると不安なのですが、どう見直すべきでしょうか?
しかし、ボーナス頼りの家計のやりくりはとても危険です。本記事では、ボーナス頼りの生活が危険な理由と、どう見直していけば良いのかについて、30歳会社員・一人暮らし・毎月2万円の赤字のケースで解説します。
執筆者:渡邉志帆(わたなべ しほ)
FP2級
ボーナス頼りは赤字の回収ができなくなる危険性が
毎月の収支が赤字でもボーナスがあるからなんとかなる、と甘く考えていると危険です。ボーナスの有無や金額は企業の業績によって左右されることが多く、必ず支給されるとも限りません。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、令和4年の年末賞与が出た会社の割合は約70%でした。全体の3割の会社はボーナスそのものが出なかったということです。また、令和2年の年末賞与額は、前年比-2.6%となっており、これはコロナ禍による社会情勢の変化の影響が大きく出たことが理由と考えられます。
感染症の流行など、予期せぬ急な社会情勢の変化によって、ボーナスの支給額に影響が出てしまう可能性があるため、ボーナスに頼った家計は早めに見直す必要があります。
1ヶ月の収支を見直そう
ボーナスに頼らずにやりくりするには、1ヶ月の給料で生活できるように毎月の収支を見直すことが大切です。現状で2万円も赤字がある場合、支出面で削減できるところがないか見直し、少しでも貯蓄に回せるようにしていく必要があります。30歳会社員・一人暮らしのケースを例に、具体的にどのように改善していくか考えていきます。
ボーナス払いを減らす
ボーナスに頼ったやりくりから脱却するため、ボーナス払いにしているものがあれば、見直しましょう。ボーナス払いとは、クレジットカードの支払いなどを夏・冬のボーナス時期にまとめて支払う方法です。
ボーナスはあくまで臨時収入ととらえ、車のローンや生命保険料などをボーナス払いにしている場合は徐々に減らし、最終的には月割りにして毎月の支出に組み込みましょう。
30歳・一人暮らしの生活費
30歳の会社員で一人暮らしの場合、どれくらいの生活費がかかるのか見ていきます。総務省統計局が公表している「家計調査 家計収支編(単身世帯・勤労者世帯)」の消費支出によると、図表1のようになります。
図表1
食料 | 3万5014円 |
住居 | 3万6380円 |
光熱・水道 | 9158円 |
家具・家事用品 | 3664円 |
被服及び履物 | 7977円 |
保険医療 | 5531円 |
交通・通信 | 2万756円 |
教養娯楽 | 2万2488円 |
その他の消費支出 | 1万9951円 |
合計 | 16万919円 |
総務省統計局 家計調査 より筆者作成
図表1は平均であり地域や性別によって変わってきますが、自分の支出が平均より多いかどうかの指標になるのではないでしょうか。
必要不可欠な支出と削れそうな支出を選別することが大切です。具体的には以下のような見直しが考えられます。
■交通・通信費:携帯電話を格安SIMに変える
→モバイル専門調査機関であるMDD研究所の月額の平均料金調査によると、大手3大キャリアからMVNO(格安SIM提供会社)に変えた場合、月額料金が約9500円から約4300円に変わることから、5200円の節約が可能となります。
■光熱・水道費:電気・ガスなどの使用法を工夫して節約
→節約方法は以下のようなものがあります。
●エアコンのフィルターを月に2回掃除した場合、年間約990円、月にすると約83円減らせる。
●冷蔵庫に入れる量を半分にした場合、年間約1360円、月にすると約113円減らせる。
●冷蔵庫の設定温度を「強」から「中」にした場合、年間約1910円、月にすると約159円減らせる。
●温水洗浄便を開けっ放しから閉めた状態に変えることで、年間約1080円、月にすると約90円減らせる。
●お風呂のシャワーの湯(45℃)を流す時間を1分間短縮した場合、年間約2070円、月にすると約173円減らせる。
●給湯器の設定温度を40℃から38℃に下げた場合、年間約1430円、月にすると約119円減らせる。
これらは経済産業省資源エネルギー庁が公表している省エネ術の一部で、紹介した内容だけでも月700円を超える電気・ガス代が節約でき、さらに細かく積み上げれば、月1000円近く節約できる可能性があります。
■趣味・娯楽費:音楽や動画などのサブスクで不要なものは解約
→Amazonプライムビデオ(月額600円)、Netflix(月額1490円)、U-NEXT(月額2189円)を契約している場合、仮にAmazonプライムビデオだけにして他を解約すると月約3700円の節約が可能となる。
●家具・家事用品:買い替える際はセール時など、安く変えるタイミングで購入する。
●生命保険:不要なものは解約、同じ内容でより安いプランがあれば変更する。
携帯電話・電気・ガス・サブスクだけで毎月1万円近い節約ができることがわかります。これらに加え、家電や保険など個人の状況に応じて支出の抜本的な見直しを行えば、毎月2万円の赤字の解消には至らずとも、縮小できるはずです。
一方、支出を切り詰めることも大事ですが、資格取得のための教材購入費などは、長期的に見れば昇給などにより収入アップにつながる可能性がある「必要な支出」と考えるといった判断も必要です。
数千円でも貯蓄に回す習慣を作ろう
支出を抑えることで余った収入の中で、毎月数千円でも良いので貯蓄することが大切です。貯蓄のための口座を別で用意し、その口座は普段は使わないように決めておきます。さらにその口座のキャッシュカードを作らず通帳のみで預け入れをすると、引き出しが面倒に感じられ、自然と貯蓄の習慣ができるかもしれません。
ボーナスは余裕をもった使い方をしよう
ボーナスは臨時収入のような感覚で、余裕を持って使うことが大切です。ボーナスの有無や金額は一定ではないので、ボーナスに頼った生活は危険ということが理解できたかと思います。
月々の収支を少しでも黒字にすることで、ボーナスの一部を貯蓄に回すこともできますし、旅行に行ったりいつもより贅沢な食事をしたりするなど、特別な時間を楽しむこともできるでしょう。
出典
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等
総務省統計局 家計調査 家計収支編(単身世帯・勤労者世帯)2022年
執筆者:渡邉志帆
FP2級