更新日: 2024.10.10 働き方
部長が適当な時間に出社して、ほかの社員より早く退勤していて「うらやましい」です。部長職って本当に大変なんですか?
一般職員などよりも適当な時間に出社したり退社したりするような部長も存在するようですが、ほとんどは定められた労働時間の範囲内で働いています。また、部下のモチベーション管理や業務達成のための適切な対策を検討するなど、部長職は決して楽ではないと考えていいでしょう。
本記事では、部長の役割や業務内容をはじめ、勤務実態などを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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部長とは部門や部署の責任者
部長とは、会社組織内の部門や部署の責任者であり、部下を管理する立場にあります。組織における立ち位置は、社長、取締役、監査役などの次に位置し、会社によって異なるものの部長職が行う主な業務は以下のとおりです。
●部署全体や部下個人の目標の管理
●部下のスキルなどを考慮したうえで適切な業務の割り振りや指示、調整
●部下の評価
●社外や社内の別部署との連携や交渉
課長職や係長職などと比べて責任が重く、業務マネジメント能力やリスクマネジメント能力、人材マネジメント能力といった組織を動かせるスキルが求められます。その他にも、部署や部下のスキルを最大限に引き出せる概念化能力や、コミュニケーション能力も求められるでしょう。
管理監督者に該当する場合は残業代が支給されなくなるのが一般的
部長職に就いている場合、残業代が支給されなくなるのが一般的です。労働時間は1週間40時間・1日8時間以内(休憩時間を除く)と労働基準法で定められており、超過分に対して残業代が支給されます。
しかし、労働基準法で定めている「管理監督者」に該当する場合は、労働時間や休憩、休日などの規定対象外となって残業代が支給されません。労働条件の決定、その他の労務管理について経営者と一体的な立ち位置になると判断されるからです。
なお、厚生労働省の「労働基準法における 管理監督者の範囲の適正化のために」では、管理監督者に該当するかどうかについて、以下のように職務内容や責任と権限、勤務態様などの実態によって判断し、役職名で決まらない旨を伝えています。
●重要な職務内容を有する立場である
●重要な責任と権限を有していること
●現実の勤務態様も労働時間などの規制になじまないものである
●その地位にふさわしい待遇(定期給与、賞与といった賃金面)がなされている
部長の勤務実態
学校法人産業能率大学総合研究所「第2回 上場企業の部長に関する実態調査」によると、部長が多く時間を割く業務として、もっとも割合が高いのが「部下とのコミュニケーション」で34.3%、続いて「資料作成」の23.1%でした。
「部下がなかなか育たない」が39.5%、「部下の人事評価が難しい」が25.2%、「職場または自分の業務量が多すぎる」が21.0%というように、部長としての悩みも複数あるようです。また、月平均で30時間前後実質的な残業を行っている方が半数以上であることも調査から分かります。
「年収はもっと高くてもいい」と感じる割合は34.8%
学校法人産業能率大学総合研究所「第2回 上場企業の部長に関する実態調査」では、年収はもっと高くてもいいと感じる部長の割合が34.8%であることを伝えています。その理由として挙げられるのが、現在の年収が職務や責任、組織への貢献に見合っていないというものです。
なお「部長として期待に応えるために十分な権限を与えられていると思うか」の質問に「思う」と回答した人が17.7%、「どちらかと言えば思う」と回答した人が51.9%の計69.6%でした。しかし、副業容認を望む部長の割合が60.5%となっているなど、調査を通して収入に対する不満が高いことを把握できる結果になっています。
部長の勤務実態などを理解して大変かどうかを判断しよう
部長が適当な時間に出社して部下よりも早く退社するというケースは、基本的にまれであると考えていいでしょう。社風や経営体制にもよりますが、定められた労働時間の範囲内で働いていたり、実質的な残業を行ったりする部長も多く存在するのも確かです。また、課長や係長、一般職などとは異なる責任や業務を抱えています。
年収はもっと高くてもいいと感じる部長の割合が34.8%となっていることもあり、部長職が楽な役割ではないことが分かります。
出典
厚生労働省 労働時間・休日
厚生労働省 労働基準法における 管理監督者の範囲の適正化のために
学校法人産業能率大学総合研究所 第2回 上場企業の部長に関する実態調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー