更新日: 2024.10.10 貯金

会社員40歳ですが、本当にお金が貯まりません。ただ退職金が「2000万円」の予定なので、このまま貯蓄なしでも大丈夫ですかね…?

会社員40歳ですが、本当にお金が貯まりません。ただ退職金が「2000万円」の予定なので、このまま貯蓄なしでも大丈夫ですかね…?
インターネットやSNSを見ていると、「手取りの○割は貯金!」や「私は○歳で貯金○万円あります! 」といった文章を目にすることはありませんか? 他人のことであり気にする必要はないと思っても、なんとなく気になってしまうという人もいるでしょう。
 
本記事では、お金が全然貯まらない人が、退職金2000万円を当てにしようとしているケースについて考えてみます。果たしてそれで大丈夫なのでしょうか。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

40歳4人世帯で年収450万円なら貯金できないかも?

まずは40歳の4人家族の場合どのくらいの生活費がかかるのかを解説します。総務省統計局の家計調査(2022年調査)で、世帯のうち1人が働いている4人世帯の1ヶ月当たりの収入、支出のデータを見てみましょう。
 
これによると、40歳から44歳の世帯における消費支出の平均は29万4732円で、月々の生活に約30万円が必要という結果になっています。一般に年収に対する手取りの割合は70%から80%なので、手取り30万円は年収450万円(80%の場合)程度と考えられます。
 
つまり、年収450万円以下の40歳4人家族は収支トントンになるので、貯金できなくても当然かもしれません。
 

退職金2000万円があるのでこのままでも大丈夫?

では、貯金0円+退職金2000万円の状態で、年金を受け取ることができる65歳から老後生活に入った場合、90歳(※)まで生活できるのかを計算してみましょう。
 
※日本の平均寿命は男性81.05年、女性87.09年ですが、現在40歳の人が寿命を迎える時代には、平均寿命はもっと長くなると考えられることから、90歳まで生活すると仮定します。
 
まず65歳以降の収入です。日本年金機構によると2023年度の年金受給額の例として、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金の金額は月額22万4482円となっているので、本記事ではこれが90歳まで続くと仮定します。
 
これに対して生活費はどの程度なのでしょうか。前掲の家計調査では、2人以上の世帯の収入、支出を年代階級別に算出しています。これによると、2人以上世帯の消費支出の平均額は図表1のようになっています。
 
図表1

年齢 65~69歳 70~74歳 75~79歳 80~84歳 85歳~
消費支出 28万9003円 25万4815円 23万7366円 22万59円 20万7772円

総務省統計局 家計調査 世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出 より筆者作成
 
それでは65歳から90歳までの25年間の収支を計算してみます。


収入:22万4482円×12ヶ月×25年=6734万4600円

支出:(28万9003円×12ヶ月×5年)+(25万4815円×12ヶ月×5年)+(23万7366円×12ヶ月×5年)+(22万59円×12ヶ月×5年)+(20万7772円×12ヶ月×5年)=7254万900円

収支:-519万6300円

年金だけでは約520万円の赤字になるという結果が出ましたが、ここに退職金を原資とする2000万円の貯金が加わるので、数字上では生活費に苦労はなさそうですね。
 

退職金を当てにするリスク

ただ、40歳の時点で老後資金を退職金頼みにするのは危険といわざるを得ません。なぜなら、退職金を受け取るのはまだまだ先の話だからです。また、退職金は減少傾向にあるとされ、これから20年以上先に2000万円の退職金が本当に支給されるか分かりません。
 
そして40歳というと、会社員生活においてはようやく折り返し地点といえる時期です。これからも確実にその会社に勤め続けられますか? 人生何があるか分からない中で、老後資金を退職金に依存するというのは危険といわざるを得ないでしょう。
 

まとめ

老後資金を退職金のみに頼るのは危険です。40歳でお金が貯まらないといっても、人生はまだまだ長いものです。転職や配偶者の収入を増やすなどして、世帯収入を上げることをまず考えてみてはどうでしょうか。
 

出典

総務省統計局 家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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