更新日: 2024.01.19 働き方

見習い「美容師」です。毎日勤務時間の前後に練習を強要されます。これって「残業」にあたりますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

見習い「美容師」です。毎日勤務時間の前後に練習を強要されます。これって「残業」にあたりますか?
美容師になりたての方の中には、カット練習を営業時間外に行うことがあるでしょう。営業時間外の作業ではありますが、残業代がしっかり払われているのか気になるところです。
 
本記事では、見習い美容師が勤務時間前後にカット練習を指示されている場合の残業代の有無について解説します。また、サービス残業の多い美容師業界の背景についても触れるため、美容師として働きたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
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カット練習の時間も労働とみなされる場合がある

厚生労働省「確かめよう労働条件」の中に、労働時間とは、使用者の指揮命令下にある時間を指すと明記されています。美容師として働く人の中には、店舗の営業時間内が労働時間にあたり、営業時間外は労働にあたらないと考えている人もいるでしょう。しかし、店舗の営業時間外だったとしても使用者の指揮命令下で作業や業務を行っている場合は、労働時間にあたります。
 
それを踏まえて、営業時間前後のカット練習が労働や残業にあたるか2つのパターンで見ていきましょう。
 

店長からカット練習を指示されている場合

店長から営業時間外の時間を使ってカット練習を行うよう指示されている場合、使用者の指揮命令下にある時間とみなされるでしょう。そのため、カット練習でも労働時間になるため残業代の支払いが発生する可能性があります。
 
見習い美容師のカット練習は基本的技術を身に付け、店舗で働くために欠かせない時間です。そのため、もし明確な指示がなかったとしても、黙示的な命令があったとみなされる場合もあります。つまり、営業時間外であったとしても見習い美容師は残業代を請求する権利があるといえるでしょう。
 

基本技術以外の高度なカット練習を自主的に行っている場合

店舗で勤務するにあたって最低限必要な基本技術ではなく、より高度な技術を身に付けるために自主的にカット練習を行っている場合は、使用者の指揮命令下にあるとは判断できない可能性があります。つまり、労働時間とはみなされず残業代の請求ができない可能性があるでしょう。
 
ただし、高度な技術を必要とするカット練習であっても店長や上司から指示を受けて練習を行っている場合は、使用者の指揮命令下とみなされます。
 
指揮命令下にあるか、自主的な行動であるかの判断が難しい場合は、労働基準監督署や弁護士への相談がおすすめです。
 

残業代を支払わない美容院が多い背景

美容師業界に入りたての頃は、一定の技術を身に付けるために練習を毎日行うのが当たり前とされています。しかし、そのカット練習の時間を労働時間には含めず、残業代の支給をしない店舗が多く存在しています。美容院がカット練習の時間に対して残業代を支給しない理由は主に2つです。
 

店舗の営業時間外であるため

美容師業界では営業時間内が労働時間という認識が根強くあります。そのため、営業時間外は労働時間に含まないとする考えが広がっています。営業後の行動は個人の自由時間とみなされ、片付けやカット練習の時間が労働時間として扱わない場合が多いのです。そのため、残業代の支給がないケースが多くみられます。
 

一定のカット技術がないとお客さんを相手にできないため

見習い美容師はお客さんを相手にカットできる技術がまだありません。つまり売り上げに貢献ができない状態です。そのため、給料は将来の投資として支払われますが、給料以外に残業代をプラスで支払うのは店舗として難しいという現状があります。
 

見習い美容師のカット練習時間には残業代が発生する

見習い美容師が営業時間外にカット練習をしている場合、多くのケースで本来残業代が発生する労働時間としてみなされます。労働時間であるかの判断は、使用者の指揮命令下にあるかどうかです。店長や上司から練習を指示されている場合や、明確に指示はなくとも店舗で働くために最低限の技術を身に付けるための練習であれば、黙示的な命令があったとみなされ残業代が発生すると考えられます。
 
見習い美容師の方でカット練習時間分の給料が支払われていない場合は、一度労働基準監督署や弁護士に相談してみるといいでしょう。
 

出典

厚生労働省 確かめよう労働条件 テーマ(5) 労働時間
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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