更新日: 2024.10.10 働き方

高所得者は注意!育休手当の「受給上限」はいくら?

高所得者は注意!育休手当の「受給上限」はいくら?
2024年、政府は「異次元の少子化対策」の一環として男性育休の取得促進に向け、育児休業中に受給できる「育児休業給付(以下、育休手当)」の「給付率」を67%から8割程度に引き上げる検討をしています。
※出典:厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」
 
一方で、育休手当には「給付金額の上限」があることをご存じでしょうか。本記事では、育児休業中に受け取れる育休手当の金額と受給上限に該当する年収に加え、育児休業を取得する税制面でのメリットについても紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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育休手当の金額と受給条件

育休手当を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。
 

●雇用保険に加入し、一定の条件を満たしている(後述)
●養育を目的として育児休業を取得

 
育児休業は子どもが1歳を迎える前日まで取得が可能であり、育児休業中に申請・手続きをすると労働保険から育休手当を受け取ることができます。
※出典:厚生労働省「育児休業給付について」
 
では、実際に育児休業中にどのくらいのお金を受給できるのか、具体的な金額と雇用条件を確認しましょう。
 

育休手当は過去6ヶ月の賃金から算出される

厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」によると、育休手当の受給額は「休業開始時賃金日額」を元に計算されるようです。休業開始時賃金日額とは、育児休業開始前の直近6ヶ月間に支払われた賃金の総額を180で割った金額です。
 
育児休業1日あたりに支払われる金額が休業開始時賃金日額となるため、給付される金額は以下の計算式で求められます。
 
休業開始時賃金日額×支給日数(28日が上限)×給付率
 
上記の計算式での給付率は、育児休業開始から180日までは67%、育児休業開始から181日目以降は50%です。
 

育休手当を受け取る条件

育休手当は雇用保険から支払われるため、受給するには勤務先、または直接自分でハローワークへ申請する必要があります。受給条件は、以下の「完全月」が12ヶ月以上あることです。
 
・休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上
 
または
 
・賃金の支払いの 基礎となった時間数が80時間以上
 
上記の他、雇用条件に詳細な規定があるため、受給申請の際は勤務先の担当者に確認が必要です。また、育休手当の受給期間は子どもが1歳を迎える前日までですが、保育園への入園ができないなどの理由で2歳まで取得することも可能です。
 
※出典:厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」
 

高所得者は育休手当の受給金額の上限に注意が必要

育休手当には上限金額が設定されているため、休業開始時賃金と給付率を元に算出された金額より、受給できる金額が少なくなる場合があります。具体的な上限金額と、給付上限額に該当する年収を試算していきます。
 

育休手当で受給できる上限金額

育休手当は休業開始時賃金日額から算出されるため、上限額は休業開始時賃金日額に設定されており、その金額は1万5430円です。
 
支給日数を30日とした場合の支給上限額は以下のとおりです。
 

●給付率67%:支給上限金額 31万143円
●給付率50%:支給上限金額 23万1450円

 
ただし、この金額は2023年8月に変更され、2024年7月31日までの額のため、今後変更する可能性があります。
※出典:厚生労働省「令和5年8月1日から支給限度額が変更になります。」
 

受給上限に引っかかる高所得者の年収額

育休手当の支給上限金額に該当する年収はいくらでしょうか。
休業開始時賃金日額の上限が1万5430円なので、以下の計算で概算できます。
 
・1万5430円×365日=563万1950円
 
休業開始時賃金日額は、育児休業開始前の直近6ヶ月間に支払われた賃金の総額を180で割った金額です。加入している健康保険により前後しますが、年収およそ560万円以上の会社員の場合、手取りよりも育休手当で受け取れる金額が低い可能性が高いです。
 
また、育児休業開始から181日目以降は給付率が67%から50%に下がるため、支給額は大幅に減ることが。
 

育児休暇を取得すると節税になる?

育休手当には支給上限金額が設定されている一方、育児休業中は社会保険料の免除や出産に係る手当が非課税となるなど、税制面でのメリットもあります。
 

非課税となる手当

出産一時金(50万円)、産前産後休暇手当(産休手当)、育休手当

 

免除される社会保険料

健康保険、厚生年金保険

 

減額が見込まれる税金

住民税(育児休業取得の翌年分の支払い)

 
※出典:国税庁 タックスアンサー「No1191 配偶者控除」、厚生労働省「育児休業等期間中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の免除」
 

まとめ

育休手当の受給金額に上限はあるものの、育休手当自体に税金がかからないことや、その他出産に係る手当も非課税になります。また、年収560万円以上の方であっても180日までであれば、育児休業により収入が大幅に減ることは考えにくいでしょう。
 
今後、育休手当の給付率増加だけでなく、給付金額の上限撤廃についても検討がされれば、金銭的な不安による育児休業取得のハードルは下がりそうです。
 

出典

厚生労働省
育児休業給付の内容と支給申請手続

育児休業給付の給付等率の引上げについて

育児休業給付について

育児・介護休業法の改正について

令和5年8月1日から支給限度額が変更になります。

育児休業等期間中の社会保険料 (健康保険・厚生年金保険)の免除

令和5年度雇用保険料率

国税庁 No.1191 配偶者控除

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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