更新日: 2024.01.24 働き方

制服ありの職場ですが、着替えのため「30分前」に出社するように言われています。「残業代」は出ないそうですが、これって違法ですよね…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

制服ありの職場ですが、着替えのため「30分前」に出社するように言われています。「残業代」は出ないそうですが、これって違法ですよね…?
飲食店や百貨店など販売接客業、金融機関の窓口対応などの場合は制服が導入されていることも少なくありません。その場合は会社や勤務先に到着してから着替えて業務開始、終了すると再び私服などに着替えて退社するパターンは多いのではないでしょうか。
 
制服に着替えた状態で始業時間を迎えるためには、少し早めに出社して準備する必要があります。本記事では、始業30分前には出社するように上司に言われた場合、残業代は出るのか、出ない場合は請求できるのかについて解説します。
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労働時間とは何か?

残業代が出るかどうかは、実際に労働時間とみなされ、「1日8時間・週40時間」の法定労働時間を超えて業務を行っているかどうかで決まります。
 
例えば、勤務時間が9時から18時まで(昼休み1時間)と定められている場合は、実労働時間は8時間です。その間に業務を行う場合は当然ながら労働時間とみなされますが、問題となるのは時間外で始業や終業に伴う準備などを行う場合です。
 
制服に着替える、始業時に提出する売上データの準備などで、始業前に出社しなければならないケースもあるかもしれません。実際の業務には直接関係しないものの、新年会や懇親会などの準備や対応を任せられるケースも考えられます。
 
そもそも労働時間とは何なのでしょうか。厚生労働省は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」において、労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」であると定義しています。
 
つまり、はっきり明示されているかどうかにかかわらず、実際に上司など「使用者の指揮命令下に置かれていたかどうか」によって判断が分かれます。
 

制服への着替え時間は労働時間か

制服着用で業務を行う場合、出社して私服から着替えたうえで始業時間を迎えるケースもあります。上司から「始業時には制服着用してすぐに業務できる状態にしておくように」と言われることもあるかもしれません。始業時間前とはいえ、準備のために少し早めに出社することも労働時間に含まれるのでしょうか。
 
直近では例えば2023年12月に神戸地裁で「更衣に要する時間は労働時間に該当する」として日本郵便に賃金支払いを命じる判決が出されました。制服へ着替える時間も労働時間とみなされる一方で、自宅などから着用したうえで出勤した場合は請求棄却されています。
 
あくまで制服に着替える際に使用者の指揮監督命令下にあるかどうかが重視され、それぞれの状況によって判断されると考えられます。
 

上司から始業前の出社を求められたら

今回の事例では上司から「始業30分前に出社するように」言われていますが、労働時間に当てはまるのかを明確にするためにも業務命令なのかどうか確認することをおすすめします。
 
業務開始前に着替えや準備などを行う必要があるために早く出社するように言われることもあれば、特に明確な理由や根拠はなく「部下は上司よりも先に会社に来るもの」と考えて発言している可能性もゼロではありません。
 
始業30分前に出社して行う必要がある内容は何か、それが業務に関係するものなのかを明確にして労働にあたるのか、上司に確認しましょう。
 
労働にあたる場合は労働基準法が適用され、法定労働時間を超えて働く場合は割増賃金が支給されます。一方で労働ではない場合は勤務時間に含まれないので、定時で帰る場合残業代は発生しません。
 

まとめ

本記事では、制服着用する仕事で始業30分前に出社するように上司から言われた場合、労働時間とみなして残業代を請求できるのか解説しました。
 
直接上司に確認するのが難しい場合は人事や総務関係の部署担当者に相談してみましょう。トラブルを防止するためにも雇用契約書や就業規則の規定内容も確認することをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 労働時間・休日
厚生労働省 労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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