職場で「簿記2級」が必要なため、毎日1時間早く出社して勉強しています。昇給にも必要ですし「残業代」を請求しても大丈夫ですか? 上司からも「勉強してほしい」と言われています
配信日: 2024.01.26 更新日: 2024.10.10
資格取得を目指すうえで課題となるのが勉強時間の確保です。本記事では、仕事で簿記2級の取得が必要なため、毎日1時間早く出社して勉強する場合に、残業代を請求しても大丈夫なのか解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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資格勉強は労働時間に含まれるか
通常の勤務時間外で資格の勉強を行うことが、労働とみなされ残業代が発生するかを判断するためには、そもそも労働時間とは何かを明確にすることが重要です。厚生労働省が2017年に公表したガイドラインでは以下のような時間が労働時間に該当するとされています。
・使用者の指揮命令下に置かれている時間
・使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間
つまり、雇用契約書や就業規則などに定められた内容に合致するかどうかによって決められるものではなく、実際に労働者が行う内容が客観的に事実上、上司や使用者から命じられたものなのかによって判断されます。
今回の事例では、簿記2級取得のために毎日1時間早く出社して勉強する行為が、上司による業務命令と言えるのかが焦点となります。
自発的な資格勉強は労働とみなされない可能性が高い
結論から言えば、簿記2級の勉強に必要な時間を労働時間とみなして残業代などの対価を要求するのは難しいと考えられます。
資格を取得することで賃金制度における号俸などが上がって昇給できるケースもあるかもしれませんが、それはあくまで労働者のモチベーション向上のためのインセンティブであり、義務ではないケースが多いです。
資格を取得すると、社内で表彰を受けたり給料に反映される制度が用意されていることも少なくありませんが、基本的には労働者がスキルアップのために自発的に行うものであり、上司や使用者の指揮命令下に置かれているとは言い難いでしょう。
労働時間とはみなされないため、始業前に少しはやく出社したり終業後に残って勉強したとしても残業扱いとはならず、割増賃金も発生しません。
資格勉強が労働とみなされるケース
ただ、「資格取得=労働時間ではない」となるわけではなく、あくまで個別の状況を見て、使用者の指揮監督命令下にあるかどうか判断されます。
資格勉強は基本的に自発的な行動として労働時間に含まれませんが、上司から「今期中に簿記2級を取得するように」と事実上命じられている、簿記2級を取得しなければ現在の仕事を続けられないといった場合は、通常業務と同様に労働とみなされることがあります。
労働とみなされると労働基準法が適用され、みなし労働時間や変形労働時間、フレックスタイム制度などが導入されていなければ「1日8時間・週40時間」を超えて働くと一般的な残業代にあたり割増賃金が支給されます。
まとめ
本記事では、仕事で簿記2級が必要なため、毎日1時間早く出社して勉強する場合、労働時間とみなして残業代を請求できるのか解説しました。
資格勉強が本人の自発的なものである場合は原則労働とはみなされません。業務にあたるのか確認したい場合は、人事や総務部門の担当者に質問してみてください。
出典
厚生労働省 労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
厚生労働省 労働時間・休日
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー