更新日: 2024.02.05 貯金

物価高のため貯金額がすっかり減ってしまいました。仕方ないことなのでしょうか?

執筆者 : 伊達寿和

物価高のため貯金額がすっかり減ってしまいました。仕方ないことなのでしょうか?
近年、各地の異常気象や世界的な紛争などにより、食料品や日用品をはじめ、電気・ガスといったエネルギーなど、さまざまな物価が上昇しています。
 
2023年(令和5年)12月分の全国の消費者物価指数は、総合指数が2020年を100とした場合に106.8となっており、前年同月比では2.6%の上昇です。
 
また、主な費目の前年同月との比較では、日常生活に大きく関わる食料が115.2と6.7%の上昇になっています。生活スタイルを変えるのは簡単ではないとはいえ、物価が上がった分だけ支出が増えていくと、いずれ貯蓄がなくなることもあります。
 
物価高がいつ終息するかも分からないため、現在の状況を仕方ないと思わず、家計を見直す対策が必要でしょう。
伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

家計を安定させるための貯蓄をまず確保

家計を安定させるために、一定の貯蓄額を確保しておきましょう。例えば、転職や失業、災害などで一時的に収入が途絶えたり、病気やケガで支出が増えるなど万が一のケースに備え、まずは「緊急資金」といわれる予備資金を確保しておいてください。
 
貯蓄額の目安としては、毎月の支出の3ヶ月分から6ヶ月分ですが、1年分があるとなお安心です。貯蓄で緊急資金が確保できているかチェックし、不足している場合はできるだけ備えておいてください。
 
また、物価高で毎月の家計が赤字になっている場合は、緊急資金の確保と併せて家計の見直しも行いましょう。
 

収支を改善するための家計の見直し

老後の生活などで意図的に貯蓄を切り崩す状況は別として、日常の収支は黒字にしておく必要があります。毎月の収入と支出のバランスをチェックして、収支が黒字になっているか確認しましょう。
 
物価高により支出が増えて、貯蓄が減っているケースでは、収支が赤字になっていると考えられるので、家計の見直しが必要です。
 
一般的に家計の金融資産を増やすには、「収入を増やす」「支出を減らす」のほか、資産運用では「運用利回りを上げる」という方法が挙げられます。そのなかでも、家計の見直しのために即効性のある対策としては「支出を減らす」が有効です。
 
食費や日用品、光熱費といった生活に欠かせない支出は確保する必要があるので、交際費や娯楽費など、それら以外の支出を減らし、支出にメリハリをつけた上で増加を抑えるのがいいでしょう。
 
また、携帯電話の通信プランの変更や、利用頻度が低いサブスクの解約などを検討していなかった場合、これを機会に見直してみてください。
 

中長期的な物価上昇への対応

物価上昇がいつまで続くのかは分からないため、もし今後もインフレ傾向がしばらく続くとなると、支出の見直しだけで対応するのは限界があるかもしれません。その場合には「収入を増やす」、資産運用での「運用利回りを上げる」という点についても検討しましょう。
 
収入を増やす例としては、給料の高い仕事に転職する、副業を始める、パートやアルバイトであれば勤務時間を増やすなどが考えられます。また、できる限り長く働いて収入を得るという考え方で、定年退職後も継続して就労するのもいいでしょう。
 
資産運用で運用利回りを上げる点については、老後に向けて長期間の運用が可能な資金であれば、ある程度のリスクを取って投資するという方法になります。
 
特に2024年からはNISA制度が大きく改正され、年間の投資枠や非課税で運用できる金額が増えたこともあり、長期間の投資は物価高が中長期的に続く場合に対応する方法の1つとなるでしょう。
 

まとめ

物価高で支出が増えてしまう状況でも、家計を安定させるためには一定の貯蓄を確保する必要があります。
 
貯蓄が減っても仕方ないと考えるのではなく、まずは全体的に家計を見直して収支を黒字にしましょう。また、収入を増やすことや資産運用など、中長期的な物価上昇に備える対応も検討することが大切です。
 

出典

総務省 消費者物価指数(CPI)結果
 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

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