更新日: 2024.10.10 貯金
45歳までに投資で「2000万円」貯めた場合と、投資にかけるお金で「住宅ローン」の繰上返済した場合、どちらがお得? それぞれを比較シミュレーションしてみた
執筆者:沢渡こーじ(さわたり こーじ)
公認会計士
住宅ローンの繰上返済とは?
住宅ローンを繰り上げて返済をすると、その分、早く完済できるので支払う利息が少なくなります。ただし、金融機関によっては「繰上返済金額が10万円以上から」など制限がある場合や、手数料がかかる場合もあります。
利用している住宅ローンの繰上返済の条件を確認しましょう。
繰上返済より投資するほうがお得?
住宅ローンの繰上返済によるメリットは、繰上返済した分の利息が減ることです。もっとも、住宅ローンの利率は現在低金利で、変動金利0.298%からという金融機関もあり、支払う利息は少なくなっています。
そのため、繰上返済によって支払う利息を減らすよりも、繰上返済する分のお金を使って投資で増やしたほうがお得な可能性があります。
お金の投資方法
投資の方法について4つ紹介します。
投資というと「元本保証」のものを選びたい人が一定数はいるでしょう。しかし、元本保証の投資は銀行にお金を預けて利息をもらうものが主になり、利率は非常に低くなっています。住宅ローンの金利以下の利率にしかならないため、元本保証の投資では効果がありません。
元本保証はないものの、元本が減る可能性が低い投資はいくつもあります。例えば国債や個人年金保険といった貯蓄型の保険です。
個人年金には利率の最低保証がされている商品もありますが、早期に解約してしまうと、解約返戻金が払った保険料を下回ることになるため注意が必要です。
比較的元本割れしにくい投資で、かつそれなりのリターンが欲しいという場合、投資信託があります。
投資信託のリターン
投資信託の金利はいくらなのかについて、一例として、人気の金融商品である「オールカントリー」をみてみましょう。オールカントリーに30年間投資した場合の平均金利は、8.7%です。
投資信託への投資は長期的に行うほうが収益は安定し、損をするリスクが少なくなります。そのため、投資信託へ投資する場合はできるだけ早くに開始し、30年など長期で運用するのが望ましいといえます。
投資と住宅ローンの繰上返済を比較シミュレーション
投資をして45歳までに2000万円貯める場合と、投資にかけるお金で住宅ローンの繰上返済をした場合、どちらがお得なのかをシミュレーションします。
45歳で2000万円貯めるには毎月いくら必要なのか
仮に、30歳から45歳までの15年で2000万円を貯めるとしたら、毎月いくら投資にお金を使う必要があるのでしょうか。
投資を全くせず貯金だけで2000万円貯めようとした場合、2000万円÷15年÷12ヶ月で、毎月約11万円を貯金する必要があります。年利3%で投資したとすると、年間108万円の投資が必要になります。つまり、毎月9万円の投資が必要です。
貯金だけで2000万円貯める場合と比較すると、毎月2万円お金が浮くことになるため、15年間で360万円得することになります。
同額を住宅ローンの繰上返済にあてた場合
では、同額の毎月9万円を15年間住宅ローンの繰上返済にあてるとすると、ローンの支払利息はいくら減るのでしょうか。
国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、分譲集合住宅の取得金額平均は5279万円、ローン返済期間平均は約30年です。ここでは分譲マンションを、この平均額5279万円で購入し、資金は30年ローン、変動金利0.298%で借りたとします。
繰上返済しない場合の利息総額は約240万円、15年間繰上返済(期間短縮型)をした場合の利息総額は約155万円と、繰上返済をしたほうが約84万円お得になります。
貯金の場合と比較して、毎月9万円を年利3%で15年間投資した場合は360万円を得するので、住宅ローンの繰上返済をする場合よりも、投資をしたほうが約276万円お得になるという結果が出ました。
まとめ
住宅ローンは現在かなりの低金利ですから、繰上返済を行い支払利息を減らすよりも、同額を投資に回したほうが得をする可能性が高いです。しかし、あくまで投資は元本割れの可能性がありリスクを伴うものです。
住宅ローンの繰上返済は確実に支払利息が減るわけですから、確実に得をする方法ともいえます。絶対に損をしたくないという人は、住宅ローンの繰上返済のほうが良いかもしれません。自分がどこまでリスクを受け入れられるかのバランスを考慮して、お金の使い道を決めましょう。
出典
一般社団法人全国銀行協会 繰上返済は有利?手数料は?住宅ローンの繰上返済
国土交通省 令和4年度 住宅市場動向調査報告書
my INDEX MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス (ACWI) (円)
執筆者:沢渡こーじ
公認会計士