70代夫婦で貯蓄「1000万円」は少ない方?友人たちは「2000万円はないと不安」と言うのですが……

配信日: 2024.02.26 更新日: 2024.10.10

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70代夫婦で貯蓄「1000万円」は少ない方?友人たちは「2000万円はないと不安」と言うのですが……
過去に「老後2000万円問題」が話題となったことから、老後に備えて貯蓄が2000万円なければ不安になってしまう方も珍しくないようです。しかし、1000万円ならともかく、2000万円も年を取ってから用意することは、現実的には簡単ではないでしょう。そこで、70代夫婦の貯蓄額について考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

70代夫婦世帯の貯蓄平均額は1905万円と推定

「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」によれば、世帯主が70歳代の世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)における金融資産保有額の平均額は1905万円です。ここでいう「金融資産保有額」は預貯金の他、株や生命保険なども含んだ、貯蓄全体の額をいいます。
 
これだけ見ると、貯蓄額1000万円は、決して多いとはいえないかもしれません。しかし、中央値は800万円となっていることから、少ない方とも言い切れないようです。
 
ただし、70歳代は貯蓄額の二極化が生じています。最も多いのは「金融資産非保有」という世帯で、この年齢層全体の18.7%を占めています。一方で、3000万円以上保有しているという世帯は、ほぼ同様の18.3%です。
 
中央値が800万円となっていること、そして貯蓄額が二極化していることを考えると、70代夫婦で1000万円の貯蓄は、むしろ多い方といえるかもしれません。
 

70代の夫婦で1000万円の貯蓄があれば、老後の生活には足りるのか

では実際に「70代の夫婦が1000万円の貯蓄で老後に生活していくことができるのか」というと、結論としては個別の事情によって異なるため、一概に「生活できる」「生活できない」とは言い切れない部分もあります。
 
そこで、参考までに、統計を基に考えてみましょう。総務省統計局の「家計調査年報(2022年)」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、平均して毎月2万2270円の不足が生じています。年間での不足額は、26万7240円になります。仮にその後20年間、老後の生活が続くとすると、不足額は総額で534万4800円となります。
 
上記より、統計から確認できる一般的な夫婦の生活であれば、老後資金1000万円でも足りる可能性が高いと考えられるでしょう。
 

なぜ「2000万円ないと不安」と言われるのか

「老後は2000万円の貯蓄がないと不安になる」という方は一定数存在します。その理由は、統計上の収支の内訳にあります。
 
先の総務省統計局の「家計調査年報」によれば、平均的な65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、実収入は24万6237円です。年金など含めた社会保障給付だけでも、22万418円あります。年間では264万5016円の収入を、年金などで得ていることになります。
 
しかし、どのような世帯でも、このような額の年金を得られるとは限りません。仮に夫婦ともに国民年金の世帯では、年金を満額で受給できたとしても、2人合わせて年間163万2000円です(令和6年度ベース)。
 
前述の平均的な年間収入額との差額は101万3016円、この先20年間生きると仮定すると2026万320円になることから、将来受け取る年金額が少ない方や、将来の生活費に対して年金が少ないと考えている方を中心に「2000万円ないと不安」といわれることがあるのでしょう。
 

まとめ

70代夫婦で貯蓄1000万円は一概に「少ない」ともいえませんが、世帯によっては少ないと感じることもあります。特に年金額や支出額によっては、老後2000万円の貯蓄がないと不安に感じることもあるでしょう。
 
貯蓄額について考えるのであれば、統計の数字や他人の意見は参考程度にとどめましょう。自身の老後にはどれくらいのお金が必要であるか考え、それを基に、1000万円では少ないか、少なくとも2000万円が必要であるかどうか、検討していくことをおすすめします。そうすることで、老後を安心して迎えることができるでしょう。
 

出典

知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)表番号4
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要
厚生労働省 令和6年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から2.7%の引上げです~
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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