更新日: 2024.03.06 働き方

社長に「うちには有給休暇はありません」と言われたのですが、これって「違法」ですよね?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

社長に「うちには有給休暇はありません」と言われたのですが、これって「違法」ですよね?
有給休暇は、一定の要件を満たせば誰もが取れる休暇です。ところが、なかには「うちに有給休暇はない」と言う経営者もいるかもしれません。有給休暇は、事業所が独自に決められることではありません。では、実際にはどのようなルールがあるのでしょうか。
 
今回は、有給休暇がないのは違法なのかどうか、有給休暇の基本的な知識といったことについて紹介します。
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有給休暇を取得させないのは違法?

結論からいえば、従業員に有給休暇を取得させないのは違法行為です。有給休暇は、一定の要件を満たした労働者なら誰でも取得できます。
 
労働者に有給休暇を取らせるのは使用者の義務であり、そのことは「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」と、労働基準法第三十九条によって定められています。
 
有給休暇は労働基準法で決められている休暇であるため、設けるかどうかを事業者が決めることはできません。使用者の判断や会社の事情で取得させない場合は違法になります。
 

有給休暇を取得できる要件と注意点

では、有給休暇の取得に関して知っておきたい基本的な知識として、取得要件や注意点などを紹介します。
 
・有給休暇取得の要件
有給休暇が付与されるのは、入社して6ヶ月を経過したすべての労働者です。通常の労働者は6ヶ月勤務した時点で年間10日間、1年6ヶ月勤務すれば年間11日間という具合に、勤続年数に応じて最長20日間(勤続年数6年6ヶ月以上)まで付与されます。
 
週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者も、労働日数や時間に応じて取得できます。例えば、週所定労働日数が1日の労働者が入社6ヶ月時点で使える有給休暇は年間1日です。全労働日の8割以上出勤していれば、雇用形態に関係なく取得できます。
 
・使用者が行使できる「時季変更権」や不利益な扱いに注意
有給休暇をいつ使うかは労働者の自由です。やむを得ない事情があるときのみ、使用者が取得日を変更することが認められています。これを「時季変更権」といいます。
 
ただし、時季変更権の行使には事業が正常に回らないなどの理由が必要です。「忙しい」という理由だけでは時季変更権は使えません。また、有給休暇を取った労働者に減給するなど不利益な扱いをするのも違法です。
 
・残った有給休暇の扱いと時効消滅
年度内に使いきれなかった有給休暇は、次年度に繰り越しできます。なお、有給休暇の時効消滅は2年です。このことを把握しておき、有効活用しましょう。
 

経営者が有給休暇を理解していない場合もある

経営者によっては、そもそも有給休暇の制度を正しく理解していない場合もあります。「うちにはない」と言われたときは労働基準法で決められていることを伝えてみましょう。有給休暇は、労働者が一方的に申請すれば取得できる制度です。
 
要件を満たしたうえで事業が正常に回らない時季さえ避ければ、自由に使えます。もしも会社から不利益な対応をされたときは、総合労働相談コーナーなどに相談しましょう。
 

出典

e-Gov 法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法 第三十九条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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