更新日: 2024.03.12 働き方

退職前に残りの有休「10日分」を使い切ろうとしたら、「ただでさえ辞めて迷惑かけるのに」という理由で拒否されました。従うしかありませんか…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

退職前に残りの有休「10日分」を使い切ろうとしたら、「ただでさえ辞めて迷惑かけるのに」という理由で拒否されました。従うしかありませんか…?
有給休暇は労働者の権利とはいえ、毎年100%消化できていないという人も多いのではないでしょうか。そして転職が決まった場合、退職前に一気に残りの有休を使いたいという人もいるでしょう。
 
ただ、現在の職場の上司などから、まとまった有休取得を拒否されてしまうこともあるかもしれません。本記事では、退職前にたまっていた有休を取ることを拒否された場合、どうすれば良いのかについて解説しています。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

有休は次の会社に持ち越せない

有休は労働者の権利であり、基本的には労働者の好きな時季に、目的を問わず取得できます。そして、有休は会社ごとに付与されるため、前職の有休残日数を転職先の会社に持ち越すことはできません。
 
そのため、どれだけ現在の会社で有休が残っていても、転職後の会社ではいったんゼロになります。ただし、子会社への出向などの場合は持ち越せる場合もあるため、そのような場合は社内の人事部門などへ制度の確認が必要です。
 

有休の取得時季は自由だが、会社が取得日を変更できる場合もある

退職すれば有休がなくなってしまうので、辞める前に現在保有している有休を全て消化したいと思うことは当然と言えるでしょう。
 
そもそも、原則として有休をいつ取得するかは労働者の自由です。ただし、法律上は労働者が休みを申請しても、その日が「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当すれば、会社は該当日の有休を拒否し、別日に変更するよう求めることができます(時季変更権)。
 

法律上は退職する会社で有休を取り切っても問題はない

以上のように、退職・転職などが発生していない場合であれば、「事業の正常な運営を妨げる」という条件に合致すれば、会社が労働者の指定した有休日を別日に変えることは法律的にも不可能ではありません。
ただし、会社ができるのはあくまでも時季の変更だけですので、有休自体を却下するというのは別の問題です。
 
今回のように、退職・転職を伴う場合、労働者の退職前に会社が時季変更権を行使すれば、労働者は期限内に有休を取得することが困難となり、実質的に会社が「有休を却下する」という状況になってしまいます。そのため、例えば残りの出勤日が10日で、有休残日数が10日であれば、必然的に会社は有休を拒否することは不可能です。
 
退職日までに全ての有休を使い切ることについては、会社も拒否はできないと言えるでしょう。
 

今までお世話になった会社への配慮もしておきたい

ここまでの説明のとおり、転職するまでの残りの有休を退職日までに取ること自体は問題ありません。どれだけ会社が困るといっても、退職後には有休は消滅してしまうため、退職する会社で有休を取り切っても法律上は大丈夫です。
 
とはいえ、会社の事情を全く無視して、急に残りの有休を消化することはおすすめできません。立つ鳥跡を濁さずの精神で、今まで少なからずお世話になった会社に対しては、最後まで可能な限り義理を尽くしたいところです。
 
転職が決まった際には、早めに上司に伝えるとともに、計画的に引継ぎを行い、有休残日数の取得について上司と合意を取り、自身も気持ちよく次の職場で働けるようにしましょう。
 

まとめ

有休を消化することは労働者の権利ですので、会社は時季の変更はできるものの、消化すること自体は拒否できません。退職前などで、このタイミングで会社が有休の時季変更を要求すれば、労働者が期限内に有休を使いきれないといった状況では、会社は時季の変更は原則行えません。
 
ただし、法律上は問題がないとしても、やはり今の会社への配慮も忘れないようにしたいところです。上司への報告や引継ぎは計画的に行い、気持ちよく有休消化の合意が取れるように進めることをおすすめします。
 
それでも、不当に有休が拒否されるようなことがあれば、会社の人事部門や労働組合、場合によっては労働基準監督署へ相談しましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法 第39条 年次有給休暇
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集