更新日: 2024.03.13 働き方

「初任給26万」と聞いて喜んで入社しましたが、「固定残業40時間」の「6万円」が含まれていました。40時間分の残業代が6万円って、やや少ないですよね…?

「初任給26万」と聞いて喜んで入社しましたが、「固定残業40時間」の「6万円」が含まれていました。40時間分の残業代が6万円って、やや少ないですよね…?
仕事を探す際には、さまざまな条件の中で給料の高さが大きな決め手になったという人は少なくないでしょう。
 
本記事では、初任給が26万円と聞いて喜んで入社したものの、後でよく聞いてみたら固定残業代40時間分の6万円を含むことが分かったという社員を例に給与を考えてみます。
 
はたして固定残業代40時間分で6万円という金額は適切なのでしょうか。労働基準法に照らして検証してみます。
FINANCIAL FIELD編集部

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固定残業代とは

固定残業とは、実際に残業をする・しないにかかわらず、定められた時間外労働・深夜労働・休日労働に対して、毎月決まった金額の残業代が支払われる制度です。
 
また、定められた時間を超えて時間外労働をした場合は、超えた分の残業代が支払われます。例えば、固定残業代が30時間と決められていて40時間残業をした場合は、固定残業代とは別に10時間分の残業代が支払われるしくみです。
 
労働基準法の原則では労働時間を1日8時間以内・1週40時間以内としており、これは法定労働時間と呼ばれています。法定労働時間を超えて労働者に時間外労働をさせる場合は、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結や、所轄労働基準監督署への届け出をおこなわなければなりません。
 
2018年の労働基準法改正により、36協定による時間外労働の上限は1ヶ月あたり45時間・年間360時間となり、臨時的な特別の事情がない限りこの時間を超えることはできなくなりました。
 

固定残業代が40時間で6万円は合法なのか

36協定が締結されており、所轄労働基準監督署へ届け出をおこなっていれば、1ヶ月あたり45時間までの時間外労働が認められるので、40時間の固定残業時間を定めることは違法ではありません。
 
それでは、40時間の固定残業時間に対して6万円は合法なのでしょうか。固定残業代が40時間で6万円に設定されているということは、1時間あたり1500円の賃金になります。地域別最低賃金の全国一覧を見てみると、最低賃金が最も高い東京都で1113円です。時間外労働をする際には通常の労働時間に対して割増賃金が支払われます。
 
通常の勤務後および法定外休日の割増率は22時までは25%以上、22時~翌日5時までの割増率は50%以上です。東京都の場合、最低賃金が適用されたとして22時まで残業をした場合の1時間あたりの賃金は1391円、22時~翌日5時まで残業した場合の1時間あたりの賃金は1669.5円になります。
 
法定休日に労働させた場合の割増率は22時までは35%以上、22時以降は60%以上です。東京都の最低賃金が適用された場合、22時までは1502.55円、22時以降は1780.8円になります。1ヶ月で40時間なので、1週あたり10時間の残業をすると考えて試算してみましょう。
 
9~18時が定時の企業で法定外休日に9~20時(休憩1時間)の残業をした場合、1113×1.25×10=1万3912.5円です。9~18時の勤務後、18時~午前4時まで残業をしたとすると、1113×1.25×4+1113×1.5×6=1万5582円です。
 
法定休日に9~20時(休憩1時間)の残業をした場合、1113×1.35×10=1万5025.5円になります。法定外休日に残業をした場合でも深夜勤務にならなければ、会社が提示している固定残業代は東京都の最低賃金で計算した金額を上回りました。
 
しかし、法定外休日でも深夜勤務になった場合や法定休日に残業をした場合、固定残業代は東京都の最低賃金で計算した金額を下回ります。
 

固定残業代が40時間で6万円という設定は最低賃金を下回る場合がある

固定残業代を1ヶ月あたり40時間と定めること自体は労働基準法違反ではありません。しかし、40時間で6万円の固定残業代は、働く地域や働く日時によっては最低賃金を下回ることがあるため、場合によっては合法とはいえないでしょう。
 
また、令和5年3月の新卒の初任給は平均が21万2500円です。固定残業代40時間6万円を含めて26万円の給料は、平均より安いとも考えられるでしょう。
 

出典

厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
厚生労働省 36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針
厚生労働省愛媛労働局 時間外、休日及び深夜の割増賃金(第37条)
東京労働局職業安定部 学卒者の初任賃金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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