更新日: 2024.03.14 働き方

アルバイト先の施錠を任せられていたのですが、忘れてしまい盗難被害に遭ってしまいました…被害額を私も払わないといけないのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

アルバイト先の施錠を任せられていたのですが、忘れてしまい盗難被害に遭ってしまいました…被害額を私も払わないといけないのでしょうか?
アルバイト・正社員にかかわらず、日々さまざまな仕事をされているかと思います。仕事中のミスは誰でも経験があるかと思いますが、万が一そのミスで会社が金銭的な被害を受けてしまった場合、被害額を本人が支払う必要があるのか考えたことがある方もいるはずです。
 
そこでこの記事では、アルバイト先で戸締まりを忘れた結果、盗難被害にあった場合、被害額を支払わなければならないのかについて解説します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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アルバイト先の鍵をかけ忘れてしまい泥棒に入られました

とある飲食店で深夜時間帯のバイトリーダーをしていた私は、閉店後の戸締まりも仕事の1つとなっていました。
 
いつもお店から出る際、最後に鍵をかけたか確認してから出るのですが、その日はとても忙しく、疲れ果てていたため、戸締まりの最終チェックを忘れて帰ってしまいました。翌日店長から泥棒に入られたとの連絡があり、自分が鍵をかけ忘れたことに気付いたのです。
 
もちろんわざとではありませんが、この場合、お店が受けた分の被害額を私は支払う必要があるのでしょうか?
 

これは不法行為に該当するの?

労働者が故意または過失により会社に損害を与えてしまった場合は、その損害を賠償する責任が発生する可能性があります。
 
実際、民法には以下のように記載されています。
 
「第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」
 
「第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
 

ただし、労働者だけが損害を賠償するケースは少ないと考えられる

ただし、会社は労働者に働いてもらうことで利益を上げているため、業務上起こり得るリスクをすべて従業員に負わせるのは不公平との考え方から、労働者への責任追及は制限されるケースが多いといわれています。
 
昭和51年7月8日、タンクローリーを運転していた従業員が起こした自動車事故により損害を被った会社が、従業員に対して損害賠償を請求した事案があります。
 
本件において最高裁は「損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度」として、賠償額を損害額の4分の1に限定しました。
 
つまり、従業員のミスによってお店が損害を受けてしまった場合でも、ミスした本人が雇用主に対して全額賠償するケースは少ないと考えられます。
 

戸締まりのし忘れによる盗難被害は被害額を支払わなければならない可能性はあるが、全額賠償するケースは少ないと考えられる

労働者が故意または過失により会社に損害を与えてしまった場合、損害を賠償する責任が発生するといわれています。
 
ただし、過去の判例からミスをした本人だけの責任となるケースは少ないと考えられるため、全額を賠償する可能性は低いと考えられます。不安な場合は専門家などに相談し、法律上正しい知識を得るようにしましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 明治二十九年法律第八十九号 民法 第四百十五条 第七百九条
裁判所 裁判例検索 裁判例結果詳細 最高裁判所判例集 事件番号 昭和49(オ)1073
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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