更新日: 2024.03.15 働き方

「高級時計店」で働いています。社員は1本購入するのが「暗黙のルール」といわれましたが「自爆営業」ではないですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「高級時計店」で働いています。社員は1本購入するのが「暗黙のルール」といわれましたが「自爆営業」ではないですか?
ノルマがある企業で働いている場合は、毎月のノルマが達成できないこともあるでしょう。その場合は、自分のノルマ達成のために、自分で商品を購入しなければいけなかったり、部署のノルマ達成のために、上司から自社商品を身につけるようにと命じられたりすることがあります。
 
特に、時計のように自社商品が高額な場合は、支払いの見通しが立てづらく、購入をためらう方もいるでしょう。実際に高級時計の場合は、100万円以上する商品も多いことから、毎月の生活が困窮する可能性もあります。今回は、営業活動において、自社商品を買う義務や違法性について解説します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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強制の場合は労働基準法に違反する可能性がある

会社や上司から自社商品を購入するように強制された場合は、労働基準法に違反している可能性があります。労働基準法第16条には、下記のような記載があります。

(賠償予定の禁止)
 
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

この内容から、ノルマを達成できなかった場合に違約金を定めてはいけないことが分かります。そのため、自社商品を購入する義務は、労働者にはないといえるでしょう。なお、企業がこの法律に違反した場合は、労働基準法の第119条により、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が、企業に課せられます。
 

ノルマを達成するための商品購入は自爆営業

自分のノルマを達成するために自腹で商品を購入することを「自爆営業」といいます。実際に、営業活動において厳しいノルマが課され、ノルマを達成したかどうかで評価する企業では、ノルマを達成するために自分で商品を購入して、達成を目指すケースは多々あることでしょう。
 
企業がノルマを定めて営業活動を行う点に問題はありませんが、自爆営業を強制した場合は、法的な問題に発展します。労働者において、ノルマ達成は業務上の目標ではあるものの、自爆営業をしてまで達成するものではないという理解が必要です。
 

自爆営業が起こりやすい業界

営業活動はさまざまな業界で行われます。その中でも、特に下記の業界では、自爆営業が起こりやすいといわれています。

・アパレル
 
・保険
 
・郵便
 
・自動車

いずれもノルマを定めている企業が多いことから、自爆営業につながりやすいといえるでしょう。しかし、自社商品やサービスを実際にユーザーとして扱うことで、課題や商品のよい点などに気づけるというメリットもあります。そのため、自腹購入のすべてが悪いとはいえないでしょう。
 

100万円の時計を年に1本購入すると負担はどれぐらいになる?

ここでは、実際にノルマを達成できずに自腹で100万円の時計を1本購入した場合に、日常生活にどれくらいの影響を及ぼすかを計算します。
 
100万円の時計を年に1本買うと、月単位に換算すると8万円強の出費になります。ボーナスがある場合は、ボーナス期にまとめて支払うことが可能ですが、そうでない場合は、月々8万円強の出費になり、大きな負担となるでしょう。
 
生活のために仕事をしているにもかかわらず、仕事の影響で出費がかさんでは、本末転倒です。あまりにも商品購入を強制されて辛い場合には、対処することが必要です。
 

ノルマや強制買い取りがあまりにも厳しい場合は相談が必要

ノルマ達成を強制されたり、商品の買い取りを義務付けられたりした場合は、労働基準監督署や人事・総務へ相談することをおすすめします。ノルマ達成を強制する行為がパワハラだと認められるケースもあることから、自身の精神的疲労が蓄積する前に、各機関への相談を検討しましょう。
 

自爆営業は相談することをおすすめ

営業職は、お客さまと企業をつなぐ重要な役割を担うため、自社商品を身につけて宣伝する場合があります。しかし、購入金額が負担となる場合は、信頼できる上司や管理部門に掛け合うことをおすすめします。
 
自分が商品を気に入って購入する分には問題ないのですが、ネガティブな気持ちを抱えて商品を購入したり身につけたりしては、営業活動に支障をきたすでしょう。ノルマ達成を意識しながらも、自分の経済状況や気持ちにも注意を払って働くことが大切です。
 

出典

デジタル庁 e-Gov法令検索 労働基準法 第二章 労働契約 (賠償予定の禁止)第十六条,第十三章 罰則 第百十九条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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