更新日: 2024.03.18 働き方

退職届を出したところ「引き継ぎが終わるまで退職させない」と言われました。飛んだら訴えられてしまうでしょうか…。

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

退職届を出したところ「引き継ぎが終わるまで退職させない」と言われました。飛んだら訴えられてしまうでしょうか…。
会社を辞めようと思っても、なかなか退職できないことがあります。例えば、会社側が「引き継ぎが終わるまで退職させない」と申し出を拒否するケースもあるでしょう。このような場合、「仕事を飛んでしまおう」と考える人もいるかもしれませんが、このように仕事を放棄しても問題はないのでしょうか。
 
そこでこの記事では、引き継ぎの義務や退職時に仕事を放棄する問題性、退職できない場合の対処法について解説します。
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引き継ぎが終わるまで退職はできないの?

退職時には今まで自分が担当していた業務の引き継ぎを行うことが一般的です。しかし、なかには伝えるべきことが多く、退職日までに引き継ぎが完了しないこともあります。もしも退職日までに引き継ぎが終わらない場合、仕事を辞めることはできないのでしょうか。
 
結論からいうと、退職は可能です。無期雇用の場合、民法第六百二十七条において「雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」と規定されています。つまり、退職の意思表示をしている従業員に対し、会社側は引き継ぎを理由にして強制的に労働させることはできないということです。
 
そもそも、退職時の引き継ぎは義務ではありません。引き継ぎを理由に会社側が退職を拒むことは、違法と判断される可能性があるでしょう。
 

退職できない場合に仕事を飛んでもよい? 訴えられる?

自分には退職の意思があっても、会社側が引き継ぎを理由になかなか辞めさせてくれない場合「仕事を飛ぼう」と考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、仕事を放棄するとトラブルに発展する可能性があるのか、気になるものです。
 
前提として、退職までの期間は会社と従業員の間で労働契約が存在しています。この間、労働者は会社に対し、誠実に労働する義務があります。したがって、退職できないという理由で労働者が無断欠勤することは債務不履行となり、会社側に損害賠償を請求されたり、懲戒解雇になったりする可能性があるでしょう。
 
とはいえ、労働者が退職の意思表示を行い、残りの期間は残っていた有給休暇を消化し、出社しないケースも少なくありません。そのため、事実上の出社拒否で損害賠償されるケースはかなり限定的と考えられます。
 
ですが、急に出社拒否したり仕事を飛んだりすると、会社だけでなくほかの従業員にも迷惑がかかるため、おすすめはできません。極力円満な退社を目指しましょう。
 

退職できない場合の対処法

では、なかなか退職できない場合は、どうすればよいのでしょうか。ここでは、退職できない場合の対処法をいくつか紹介します。
 
・専門機関に相談してみる
退職できずに悩んでいる場合は、専門機関に相談してみましょう。労働基準監督署や総合労働相談コーナーなどがあり、アドバイスを受けられます。
 
・退職届を内容証明郵便で郵送する
退職届を出しても受理してもらえない場合は、内容証明郵便を使って「退職の意思を伝えた」と証明することも一案です。内容証明郵便とは、郵便物の内容文書を証明するサービスです。何の書類を誰が誰に向けて、いつ郵送したのか郵便局が証明します。内容証明郵便で退職届を郵送して会社がそれを受け取ることで、2週間後に退職するという方法をとれるでしょう。
 

トラブルを避けるためにも円満な退社を目指そう

退職時は一般的に引き継ぎを行いますが、それは義務ではありません。法的には退職の自由が保障されており、無期雇用の場合は2週間前までに会社へ申し入れすれば退職できると規定されています。
 
とはいえ、無断欠勤などによる仕事の放棄はトラブルに発展する可能性もあります。事情を説明したり専門機関に相談したりするなど、根気よく退職の意思を示して円満な退社を目指しましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 明治二十九年法律第八十九号 民法 第六百二十七条
 
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