更新日: 2024.10.10 働き方

上司から職場の「LINEグループ」に入るように言われました。休日も「上司の連絡」に返信する必要があるようですが、これって違法じゃないんですか? 連絡を気にして休んだ気になれないと思います…

上司から職場の「LINEグループ」に入るように言われました。休日も「上司の連絡」に返信する必要があるようですが、これって違法じゃないんですか? 連絡を気にして休んだ気になれないと思います…
業務連絡や情報共有にLINEなどのチャットツールを使う会社は少なくありません。正しく使えば業務効率が上がる一方で、休日中であっても返信を強要する職場もあるようです。休みの日にまでLINEの返信を求められ、休日でも休んだ気になれないと感じる人もいるのではないでしょうか。
 
本記事では、休日であっても上司のLINEに返信しなければならないのか、LINEグループに入るよう指示することに問題がないのかを解説します。
浜崎遥翔

執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

LINEでの業務連絡自体は違法にはならない

LINEを業務連絡に使うこと自体は違法ではありません。プライベートのLINEを聞くことが直ちにパワハラに当たるかといわれると、それも違います。
 
業務時間外のLINEによる業務連絡であっても、単なる情報共有のようなものであれば違反とはなり得ないでしょう。適切に使えば会社内のグループLINEで連絡を取り合うことに問題はないのです。
 

休日中のLINE返信強要は違法 労働時間とみなされる可能性もある

会社によっては、「休日でも仕事関係のLINEにはすぐに反応しろ」と指示される場合があるかもしれません。これは違法となる可能性がある行為です。
 
労働基準法によると「使用者の指揮命令下に置かれたもの」は業務にあたり、企業は労働時間として賃金を支払わなければいけません。会社や上司の指示により、LINEで返信しているので、労働時間と解釈される可能性があるわけです。
 
また会社や上司に指示されたことによる、「常にLINEに返信できる状態」は手待ち時間と考えることもできます。
 
手待ち時間とは「使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態」のことを指し、労働時間として扱わなければなりません。
 
常にLINE返信という業務の準備をしている状態であるため、労働時間と解釈できる可能性があるのです。したがって、適切な賃金が支払われていないのであれば、休日に届いたLINEの返信義務はありません。
 

グループLINEに入るように言われたときの対処法は?

グループLINEに入るように言われた場合、最も効果的なのは加入を断ることです。「LINEを使っていない」と言って断るのが最も簡単ですが、それがうそであった場合、うそであることが分かったときに印象が悪くなるので注意しましょう。また、現代では多くの人がLINEを利用しているので、LINEグループに入らないという選択は難しいかもしれません。
 
それでも大切なのは、すぐに返信ができないことをしっかり伝えることです。「つながっている友だちが少なくてLINEの通知を切っているから気付かない」「家ではスマホを触らないから気付かない」といった具合に理由をつけると良いでしょう。
 
緊急の連絡が必要なら電話番号やメールアドレスに連絡してもらうようにすれば、問題ないはずです。休日にLINEを見なくてもよい状況をつくり、自身の負担を減らしましょう。
 

会社との適度な距離を取ることが大切。どうしても受け入れられない場合は労働相談もあり

フランスでは業務時間外や休日に会社からの連絡を拒否する「つながらない権利」が認められています。残念ながら日本では、法律的に認められているわけではありません。
 
グループLINEへの返信を強要する行為は違法なので、休日のLINEを無視することは問題ないでしょう。グループLINEに入ることになっても、自分には「つながらない」権利があると主張することで、会社との距離感を適度なものにできるはずです。
 
それでもなお、休日のLINE返信を強要されることがあるかもしれません。前述した通り業務時間外の返信の強要は違法の可能性が高いですし、グループLINEに入らないことや返信をしないことで不利益を被るならばパワハラにあたります。自分でどうにもできない場合は行政の力を借りましょう。
 
厚生労働省は全国に総合労働相談コーナーを設けています。法律違反の可能性がある場合は、行政指導などの権限を持つ担当部署への引き継ぎも行っているため、悩まず相談するのも1つの方法です。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)
厚生労働省 総合労働相談コーナーのご案内
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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