更新日: 2024.10.10 働き方
会社に留学費用を負担してもらったのですが、退職を示唆すると「留学費用を返すように」と言われました……どうしたらいいでしょうか?
退職を示唆すると「留学費用を返すように」と言われた場合、一度負担してもらった費用は返還する必要があるのでしょうか。
会社は、社員が留学後にその経験を生かして会社で活躍してくれることを期待して留学費を負担しているため「退職するなら留学費を返すように」という要求はまっとうなようにも思うかもしれません。
この記事では、退職する場合に留学費用を返還する必要があるのかについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
退職時に会社から違約金や損害賠償を請求される可能性は低いと考えられる
結論から言うと、会社に留学費用を負担してもらいその後退職する際、会社から違約金や損害賠償を請求された場合でも、支払う義務がない可能性が高いでしょう。
なぜなら、労働基準法第十六条で「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と定められているからです。
このことから、退職によって労働契約を履行できなかったときに、違約金や損害賠償請求するのは、違法であるといえるでしょう。
留学規程や研修規程で規程が定められていないか、留学前に契約書を結んでいないか要確認
留学がよく行われる会社では、留学規程や研修規程などで留学費返還について記載されていたり、留学前に契約書を結んだりする場合があります。
規定に記載がある場合や、契約書を結んでいる場合は返還が必要になることがあるため確認が必要です。具体的には「留学後3年以内に退職した場合は、費用を全額返還する」のように記載されているケースがあります。
しかし、このような記載があったとしても必ず返還する必要があるとは限りません。前述した労働基準法第十六条に違反する規程と判断され、無効になる可能性もあります。
留学費返還の必要があるかは「留学が業務と関連性があるか」「留学が業務命令か社員の自由意志か」「留学費用が会社からの貸し付けだったか」などによって判断されるケースが多いようです。個別のケースに応じた判断が必要なため、留学費返還について会社ともめた場合は弁護士へ相談することがおすすめです。
国家公務員の留学費返還に関しては、一般の会社員と異なる法律があるため注意
国家公務員の留学費返還は「国家公務員の留学費用の償還に関する法律」が別途定められており、一般の会社員とは適用される法律が異なるため注意が必要です。
この法律では、基本的に留学中、または留学終了後5年以内に退職する場合、留学費用を返還しなければならないと定められています。
退職時に留学費を返還しなくてはならない場合もある
会社に留学費用を負担してもらってその後に退職する際、会社から違約金や損害賠償を請求されても、支払う義務がない可能性が高いでしょう。しかし、契約書や会社規定に従って留学費を返還しなければならない場合もあります。
留学費を返還する必要があるかは個別のケースによって判断が必要なため、困った場合は法律の専門家である弁護士に相談してみましょう。
出典
厚生労働省 労働基準法(昭和二十二年四月七日)(法律第四十九号) 第十六条
e-Gov法令検索 平成十八年法律第七十号 国家公務員の留学費用の償還に関する法律 第三条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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