会社の「お花見会」が5年ぶりに復活! 社長から「強制参加」と言われたけど、これって仕事じゃないんですか?「残業代」は出ないんでしょうか…?
配信日: 2024.04.13 更新日: 2024.10.10
本記事では、強制的に参加させられた職場のお花見会が、仕事と見なされるのかどうかを検証します。職場のイベントに疑問を持つ人やイベント企画を担当する人はぜひ読んでください。
執筆者:石上ユウキ(いしがみ ゆうき)
FP2級、AFP
会社のお花見会は「仕事?」
会社のお花見が仕事と見なされるかどうかは、以下の2点がポイントです。
・参加は強制か自由か
・誰が費用負担をするのか
お花見に誰でも自由に参加できる場合は、仕事とは見なされません。しかし、社員に業務命令としてお花見に強制参加させるのであれば、お花見の時間は「労働時間」となります。
もし労働時間としてのお花見が業務時間外に行われた場合、会社は社員の労働対価として残業代を支払う義務があります。お花見に強制的に参加させると、仕事と見なされる可能性があるのです。
また、誰がお花見の費用を負担するのかも重要なポイントです。社員それぞれが負担するのであれば、仕事ではありません。しかし、会社が事業費としてお花見の代金を支出している場合は、仕事と見なされる可能性があるでしょう。
もしお花見への参加を強制させられたら、残業代について人事担当などに相談してみましょう。
お花見中のけがは労災になる?
お花見が「仕事」と見なされれば、花見中のけがは労災の対象となる可能性があります。例えば「レジャーテーブルの準備中に指を挟んだ」「会場へ行く途中に事故に遭った」といったような事例は、業務中や通勤中の災害と見なされます。
もしお花見中にけがや事故に遭ったのであれば、後日でもよいので労災が適用になるかどうか確かめてみましょう。
お花見中のハラスメントにも注意
また、ハラスメントと疑われる行為も要注意です。上司の「当日は早朝から場所取りをしてくれ」「今日くらいは無礼講」といった言動は社員に不快感を与える可能性があり、せっかくの親睦の場を無駄にしかねません。
参加を促すのであればハラスメントに当たる行為は避け、適切な行動をとりましょう。
もし強制的な参加を断ったらどうなる?
強制的に参加が命じられており、仕事と見なされたお花見を欠席したり、参加を断ったりした場合は「仕事を休んだ」という扱いになります。欠勤扱いとなれば、残業代は支給されません。加えて、業務時間の一部を休んだことで、給与金額にも影響が出る可能性があるでしょう。
しかし、仕事と見なされないお花見であれば、社員にも参加を断る権利があります。社員が参加を断ったからといって、上司は不当な人事評価や不適切な言動をしてはいけません。仕事でない限り、会社は社員を強制的に拘束できないからです。不当な拘束であれば、労働基準法違反と見なされ、処分が科される場合もあります。
強制参加となっているお花見への参加をどうしても断らなければいけない場合は、仕事を休むのと同じです。事前に必ず不参加の旨と理由を伝えておきましょう。
「社員同士の交流」は時代に合わせて
5年ぶりの開催ということもあり、お花見を楽しみにする人もいれば、社内イベントの復活に嫌悪感を示す人もいるでしょう。特に全員強制参加といった決まりを設けてしまうと、社員の反発を買ってしまう可能性があります。
社員同士の親睦を深めることは重要ですが、社員のプライベート時間の確保、ワークライフバランスの維持も経営者や管理職の重要な役目です。時代に合わせた形式のイベントを開催することで、誰もが実りある時間を過ごせるようにしましょう。
出典
e-Gov法令検索 労働基準法
執筆者:石上ユウキ
FP2級