更新日: 2024.04.19 働き方

うちの会社は「タイムカード」を押し忘れると減給になります。これって「違法」ですよね? ただでさえ低年収なのに、どうにかならないでしょうか…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

うちの会社は「タイムカード」を押し忘れると減給になります。これって「違法」ですよね? ただでさえ低年収なのに、どうにかならないでしょうか…?
従業員が打刻することで、出勤・退勤した事実を記録する「タイムカード」。押し忘れてしまって減給などの処分を受け、「これって、違法じゃないの? 」と思った人も多いのではないでしょうか。
 
本記事ではタイムカードの押し忘れの処分が法に抵触するケースとしないケースを分類し、従業員が工夫できるタイムカードの押し忘れ対策などを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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タイムカードの押し忘れによる処分は内容次第で違法になる

タイムカードの押し忘れについては法律で明確に規定されてはいません。タイムカードを押し忘れると罰則がある会社もありますが、その場合は企業が独自で設定しているのです。ただし、その処分は労働基準法に違反しないような内容にしなければいけません。
 
処分の内容によっては労働基準法に違反する可能性があるからです。
 

タイムカード押し忘れの処分による減給は法律の範囲内なら違法ではない

タイムカードの押し忘れに対する処分として一般的なものは、「一定額の減給」です。就業規則に打刻漏れをすると処分があると記載があって事前に周知徹底されている場合、懲戒処分として「減給」が行われることがあります。この場合は、労働基準法に違反しているとはいえません。
 
ただし、労働基準法91条には減給に関して「減給額が1日の給与の半分、または1ヶ月の給与の10分の1を超えてはならない」と定められています。
 

タイムカードの押し忘れに対する罰金や欠勤扱いは違法になる可能性が高い

前項では懲戒処分として減給の処分を定めるのは条件付きで可能と解説しましたが、「罰金」と表現すると労働基準法に違反する可能性があります。
 
労働基準法第16条では従業員の労働契約に違反する行為について、「企業があらかじめ違約金や損害賠償の金額を決めておくことはできない」としています。また、打刻忘れを理由に「欠勤扱い」にすることも同じく労働基準法に違反しているため、社内規定に盛り込むことはできません。
 
労働基準法第24条では「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と規定されています。実際に勤務していたにもかかわらず、タイムカードの押し忘れだけで欠勤扱いにするのは労働基準法第24条に違反しています。
 

タイムカードの押し忘れは従業員側でも対策を進めよう

一定以上の罰則は法律に抵触することから、従業員が過度な罰則を受けることはありません。とはいえ、打刻を忘れることは好ましいことではありません。企業がタイムカードの押し忘れに対して処分を定めるのは、押し忘れが企業の生産性を低下させるためです。
 
タイムカードを打刻しないと正確な人件費の算出が難しくなるだけでなく、人事・労務部門が従業員の出退勤の時刻を監視カメラなどで確かめる必要が生じます。タイムカードの押し忘れという小さなミスが企業の利益に影響する可能性もあるため、従業員側でも忘れないような対策を立てましょう。
 

目に見える場所にタイムカード押し忘れの注意喚起をする

まず考えられるのは、出勤時に従業員が通る「更衣室」「喫煙所」「トイレ」などに、タイムカードを押し忘れないように注意喚起をするポスターを掲示する方法です。目に映る位置に設置することで、タイムカードの押し忘れ防止に役立つでしょう。
 
ただし、ポスターに目が慣れてしまうと効果が弱くなる可能性もあります。定期的にポスターのデザインを変えるなど、目に留まりやすいよう工夫しましょう。
 

従業員同士で注意し合う仕組みを作る

従業員同士で注意喚起する仕組みを作ることも、対策として有効です。例えば、部署全体やチーム単位でタイムカードを押したかどうかを確認する担当者を決め、始業前にメンバーに確認するといった方法があります。
 

リマインダー機能を利用する

営業や事務職など仕事でパソコンやスマートフォンを利用する職種なら、リマインダー機能を活用する方法もあります。常に身近で使用するツールに通知がくるようにすることで、タイムカードの押し忘れを未然に防ぐことができるでしょう。
 

まとめ

タイムカードの押し忘れに対する処分が設定される企業は少なくありませんが、その多くは法律に反しない「懲戒処分による減給」に設定されており、法律の上限内であれば違法性はないといえます。
 
従業員としては、処分を受けないように個人やチームで押し忘れの対策を進めることが大切になるでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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