更新日: 2024.05.15 働き方

社内恋愛禁止の会社で、上司と同棲を始めました。バレてしまった場合、減給処分になるでしょうか?

社内恋愛禁止の会社で、上司と同棲を始めました。バレてしまった場合、減給処分になるでしょうか?
社内恋愛を禁止している会社は珍しくありません。しかし、禁止されているにもかかわらず恋愛関係に発展してしまう場合もあり、なかには会社に秘密で同棲している方もいることでしょう。
 
そこで今回は、社内恋愛がバレたときの法的な対応と社内恋愛が禁止されている理由について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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社内恋愛による処分は難しい

原則として、社内規則で社内恋愛が禁止されていても、具体的に処罰するのは難しいとされます。具体的な理由は、以下の通りです。
 

●日本国憲法第十三条および第二十四条により、恋愛は個人の自由が原則と解釈されるから
●社内規則よりも日本国憲法が優先されるから
●実害や実損の有無が重要だから

 
日本国憲法第十三条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」および第24条「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」と記載されているとおり、個人の恋愛はお互いに合意のうえならば、法的に縛ることはできません。例え社内の就業規則で社内恋愛が禁止だったとしても、原則は就業規則より憲法のほうが高い優先順位を持つため、法的に処罰はできないのです。
 

処分の可否はトラブルの有無と内容による

社内恋愛は原則処罰の対象ではありませんが、会社への実害や実損に発展すれば話は変わります。例えば、会社の同僚同士で恋愛関係に発展し、業務上のえこひいきや職務怠慢に発展すれば、処罰の対象にされるかもしれません。
 
懲戒処分は労働契約法第十五条で「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」と定められています。社内恋愛による実損は、就業規則を破っていると同時に、「客観的に合理的な理由があり、かつ懲戒処分が社会通念上相当」に該当する行為です。
 
社内恋愛と会社の損失が関連付けられれば、十分処罰の可能性はあるでしょう。正確には社内恋愛そのものではなく、損害を起こしたことに対する責任といえます。
 

会社が社内恋愛を禁止する理由

次に、会社が社内恋愛を禁止にしている理由について解説します。
 

業務のパフォーマンスが下がる

社内恋愛に発展すると、仕事中にお互いのことが気になってパフォーマンスが落ちる可能性があります。上司と部下の関係だと、立場を利用して意図的なえこひいきを行うケースもあるでしょう。
 
またプライベートが職場に持ち込まれると、周囲の人間が居づらさを感じて異動の希望や退職にもつながりかねません。破局にまで発展すると、社内の風紀が乱れる事態も予想されます。
 
このように会社にとって社内恋愛はデメリットが多いため、禁止しているところもあるのです。
 

セクハラ問題に発展する

社内恋愛禁止は、セクハラの抑止力にもなっているといえます。もし社内恋愛が禁止されていなければ、上司が部下を執拗(しつよう)にデートへ誘うかもしれませんし、性的な発言が横行する可能性もあるでしょう。
 
厚生労働省の「職場におけるハラスメント対策マニュアル」によると、セクハラに該当する発言として、以下の例が挙げられています。
 

「性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報(噂)を流布すること」
「性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い」
「個人的な性的体験談を話すこと」

 
セクハラ問題は他社や顧客に伝わると、会社の信用問題にもつながります。従業員と会社両方にとって極力避けたい事柄であるため、社内恋愛を禁止しているところもあるのです。
 

社内恋愛で会社ともめる可能性がある

社内恋愛は会社の就業規則で定められていても、業務に明らかな支障をきたしていなければ、減給や懲戒処分を受ける可能性は低いでしょう。しかし、バレた場合には会社側ともめる可能性は考慮しなければなりません。今後のキャリアを崩さないためにも、お互いの気持ちを会社に説明して納得してもらえるよう努めましょう。
 

出典

厚生労働省 職場におけるハラスメント対策マニュアル
e-Gov法法令検索 労働契約法
衆議院 日本国憲法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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