更新日: 2024.05.24 働き方

職場のネット環境が悪化し、業務効率が大幅に低下しました。ネット環境の悪化による残業はすべきですか? できれば定時で帰りたいです…。

職場のネット環境が悪化し、業務効率が大幅に低下しました。ネット環境の悪化による残業はすべきですか? できれば定時で帰りたいです…。
インターネット環境に依存する業務が多い昨今、職場のネット環境が悪化して業務効率が大幅に低下して残業を強いられることは十分あり得る話です。しかし、労働者側としては急なトラブルのせいで残業することは本意ではないでしょう。
 
そこで今回は、職場のネット環境の悪化による残業の正当性と残業時間の上限について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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残業時間には上限がある

労働基準法においては、従業員に課せられる残業時間に上限があります。原則として、時間外労働は月に45時間、年間で360時間が上限です。これらの上限を超えるには、特別な事情がなければ許されていません。
 
また月間45時間は、月に20日間稼働と仮定するなら、1日あたり2時間程度の残業に相当します。さらに臨時的な特別な事情がある場合は、月間80〜100時間、年間720時間まで引き上げることが許されています。
 

月間の残業時間が45時間を超えてよいのは年に6回まで

月間の残業時間が45時間を超えてよいのは、年間で6回までです。例えば、年初めの1月から6月まで毎月残業時間が45時間を超えた場合、残りの6ヶ月に関しては45時間以内に抑えなければなりません。
 
ただし、月間で45時間を超えた場合の回数が6回までであるため、仮に40時間だった場合は回数に含まれません。その代わり、年間で合計360時間までと決まっています。
 

臨時的な特別の事情とは

時間外労働の上限規制における「臨時的な特別な事情」とは、労働基準法第36条第5項において「当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第3項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合」と規定されています。「第3項」とは、前述した月45時間、年間で360時間の時間外労働を指します。
 
今回のケースでは、職場のネット環境の悪化が原因とされるため、上記の条件を満たす可能性があります。そのため、特別条項に該当するなら、年間720時間、月間平均80時間かつ100時間未満の上限まで引き上げが可能です。
 
なお、特別条項が適用された場合でも残業時間が月間平均80時間かつ100時間未満でよいケースは、年間で6回までと規定されています。
 

労働環境の整備は会社の責務

ネット環境の悪化は会社側の責任です。「労働安全衛生法 第七章の二」において、会社側にはインターネット環境を改善する姿勢が求められます。しかし、部署によっては会社の上層部が事態を把握していない可能性もゼロではありません。
 
現状の残業が常態化しないためにも、一度上司を通じて状況の早期改善を相談したほうがよいでしょう。
 

残業そのものの拒否はできない

会社には「業務命令権」があり、事前に残業を行う旨を通知しており、かつ合理的な理由があれば残業を強制できます。そのため、ネット環境の悪化によって残業が発生しても、従業員の個人的な感情で残業を拒否できないのです。
 
労働基準法の上限を超える残業を課すのは違法ですが、なんらかの特別な事情がない限り、残業を拒否して定時で帰るのは難しいでしょう。
 

定時で帰るためのポイント

急なトラブルで残業を強いられているときの対処法を解説します。定時帰りを守りたい方は、以下の方法を試してみてください。
 

業務の優先順位を決める

定時で帰るには、当日中に終わらせるべき業務の優先順位と業務を早期に終わらせるためのスケジュールが必要です。ネット環境の悪化で業務効率が落ちた以上、既存の体制でなんとか対処するほかありません。
 
急なトラブルで業務の優先順位が煩雑化している可能性もあるため、部署またはチーム内でミーティングを行い、現体制でできるスケジュールを組みましょう。残業をゼロにはできないかもしれませんが、ノー残業デーの捻出程度なら期待できます。
 

全体の業務量を見直す

今回のケースではネット環境の悪化が原因で業務効率が低下しています。そのため、1日にこなせる業務量には限界があるでしょう。
 
また急に無理な残業を従業員に強いると体力やパフォーマンスも落ちるため、全体の業務量を一度見直したほうがよいでしょう。
 

残業よりもトラブルの早期解決が重要

急なトラブルによって残業前提の仕事に変わると、従業員のモチベーションが低下する事態は避けられないでしょう。法律上は一定の残業時間を課しても問題ありませんが、長時間の残業が常態化すると離職者が発生するかもしれません。短期的な残業は仕方ありませんが、上層部はトラブルの早期解決に努める必要があります。
 

出典

日本労働組合総連合会 労働相談Q&A
e-Gov法令検索 労働基準法 (第三十六条③)
厚生労働省 知っておきたい働くときのルールについて
中央労働災害防止協会 労働安全衛生法 第七章の二 快適な職場環境の形成のための措置(第七十一条の二-第七十一条の四)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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