更新日: 2024.10.10 働き方

仕事でミスをしたら「残業くらいしたら?」と言われました。定時間際ですし、残業なんて「ブラック」ですよね?

仕事でミスをしたら「残業くらいしたら?」と言われました。定時間際ですし、残業なんて「ブラック」ですよね?
働き方改革やコロナ禍の影響により、残業時間は年々減少しているといわれています。労働者の心身の健康を守る上で環境整備が進むことは大変良いことですが、残業がないことを当然と考え過ぎて、一方的に「残業=ブラック企業」と考える人も増えているのかもしれません。
 
本記事では「残業=ブラック企業」なのかどうか、残業時間の平均や残業の強制が違法に当たるケースも含めながら解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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ブラック企業の特徴とは?

ブラック企業の一般的な特徴は次の3つです。


・労働者に対して長時間労働や厳しいノルマを課す
・サービス残業や各種ハラスメントが横行している
・前述の環境の中で労働者に対して過度の選別を行う

残業が発生する会社が全てブラック企業に該当するわけではありません。残業時間が違法に多かったり、残業代が支払われなかったりする会社がブラック企業に該当します。
 
では残業時間がどの程度発生するとブラック企業に該当するのでしょうか?
 

残業時間の平均は月10時間

法律で時間外労働(残業時間)の上限は原則1月45時間、年間360時間と定められています。1カ月の出勤日が20~22日と仮定すれば、毎日2時間の残業で上限近くに達します。
 
また臨時的な特別の事情がある場合は上限以上の残業が可能となりますが、その場合でも年間720時間以内、時間外労働+休日労働時間が月100時間未満かつ2~6ヶ月間平均残業時間が80時間以内と定められており、原則の月45時間を超えて残業できるのは6ヶ月までと決められています。
 
厚生労働省が実施した令和5年分の毎月勤労調査によると、一般労働者の所定外労働時間の平均は1月あたり13.8時間、パートタイム労働者は2.2時間となっており、全体平均は10時間となっています。
 
一般労働者の平均残業時間との比較や、残業時間上限の「月45時間、年間360時間」に近い残業をしているかということがブラック企業を判断する1つの指標と考えて差し支えないでしょう。
 

残業の強制が違法になるパターンとは?

定時間際に仕事のミスが発生し、修正対応などをせずに帰ろうとしたところ、「残業ぐらいしたら?」と言われた場合、残業しなければいけないのでしょうか?
 
そもそも法律で定められた1日8時間及び1週40時間を超えて時間外労働や休日労働をさせるためには36協定の締結・届け出が必要です。
 
また会社は従業員と合意した労働契約(就業規則や労働契約書)を根拠にして、業務を命じることができます。業務上必要かつ合理性があれば従業員はその残業命令に従う必要があります。
 
一方で36協定を締結・届け出していない、36協定を締結・届け出していても残業の上限規制を超えた残業をさせる、労働契約書や就業規則に残業についての記載がない、命令された残業に業務上の必要性や合理性がない場合は残業命令が違法または無効となる可能性があります。
 
また従業員にも正当な理由(体調不良や育児・介護など)があれば残業を拒否できる場合もあります。
 

長時間残業への法対応は進んでいる

2019年の4月から時間外労働の上限規制が適用され(中小企業は2020年4月から)、それまで36協定を締結・届け出していれば残業時間の上限なし状態から法律による上限が定められたことで月100時間を超える時間外労働は違法となりました。
 
また2024年4月から建設事業や自動車運転の業務(主に運送業界)、医師にも上限規制が適用されています(上限内容は一般企業と異なる場合もある)。
 
こうした法改正により、ブラック企業における問題は、長時間労働から各種ハラスメントの横行やコンプライアンス意識の低さなどへと注目が移り変わっているのが現状です。
 

残業=ブラック企業ではない。企業コンプライアンスなども含めて判断を

労働基準法では、労働者の心身の健康を守るため残業についての規制を設けており、企業の法令遵守への取り組みや働き方改革も進んでいます。
 
「違法な長時間残業」「労使協定未締結」「残業代不支給」などがない限り、「残業=ブラック企業」と考えるのは行き過ぎかもしれません。違法な時間外労働への目が厳しくなっているこの時代、各種ハラスメントへの対応や企業コンプライアンスも含めて、ブラックか否かを判断する必要がありそうです。
 

出典

厚生労働省 労働条件に関する総合情報サイト 確かめよう労働条件 Q&A 「ブラック企業」ってどんな会社なの?
厚生労働省 時間外労働の上限規制わかりやすい解説
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年分結果確報
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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