結婚後に正社員からパートに切り替えます。その場合、扶養に入った方が夫の手取りは増えるのでしょうか?
配信日: 2024.06.20 更新日: 2024.10.10
扶養に入ると、税金や社会保険での優遇措置が受けられます。しかし、被扶養者側にはデメリットになるケースもあるため、注意が必要です。
今回は、扶養制度の内容や結婚後に扶養に入った場合のメリット・デメリットを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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被扶養者とは
被扶養者とは、被保険者に扶養されている方を意味します。被扶養者には誰でもなれるわけではなく、同居が必要な場合と不要の場合で分けられています。
●同居が不要な場合:被保険者の直系3親等以内
●同居が必要な場合:被保険者の直径3親等以外(配偶者の父母や兄弟姉妹)
注意点としては、単なる同居では扶養者とは認められないことです。被保険者と生計をともにしている状態を指すため、同居していても生計を分けている場合は扶養者扱いにはならない点に注意しましょう。
被扶養者の収入基準
被扶養者として認められるには、対象者の収入事情も関係してきます。
同居している場合としていない場合で基本的には条件は同じで、扶養対象者の年間収入が130万円未満かつ、被保険者の年間収入の2分の1以下とされています。
ただし、同居していない場合は上記に追加して、被保険者の仕送りなどの援助額が少ない場合なども対象となる点に注意が必要です。
結婚後に扶養に入るメリット
結婚後に扶養に入るメリットは、以下のようなものがあげられます。
●被扶養者の保険料がかからなくなる
●被保険者の手取りが増える可能性がある
結婚後に主たる生計者の被扶養者となった方は、通常は支払わなければいけない健康保険料や国民年金保険料などの支払いが免除されるため、費用負担をおさえられます。
また、被保険者の方は所得税の配偶者控除や配偶者特別控除の対象となり、所得税が少なくなるメリットもあるのです。例えば、被扶養者の年間の合計所得が48万円以下で、被保険者の所得が900万円以下であれば原則38万円(配偶者年齢が70歳以上の方は48万円)の控除が利用できます。
もし、被扶養者の所得が合計48万円を超えてしまっていても、合計所得が133万円以下までであれば、一定の条件を満たすと配偶者特別控除が適用されます。
結婚後に扶養に入るデメリット
結婚後に扶養に入ることはメリットだけではありません。以下のようなデメリットも考えられます。
●被扶養者の将来もらえる年金額が少なくなる可能性がある
●被扶養者の収入に制限がかかる
被扶養者は国民年金保険料が免除されるメリットはありますが、その分厚生年金に加入していない期間が長くなるため、その分もらえる年金は少なくなってしまうでしょう。
また、扶養に入っていると被扶養者は所得制限がかかるため、大きく収入を得ながら扶養に入ることはできません。
扶養には税法上と社会保険上の2つの概念があり、税法上では103万円、社会保険上では106万円と130万円という年収基準が設けられています。もし103万円を超えてしまうと、配偶者控除の対象から外れ、106万円または130万円を超えると健康保険や国民年金に加入しなければいけなくなります。
結婚後に扶養に入った場合、配偶者控除により夫の手取りが増える可能性がある
結婚後に扶養に入った場合は、配偶者控除または配偶者特別控除により、夫の所得税が減るためその分手取りが増える可能性があるでしょう。被扶養者に関しては、一定の所得内であれば健康保険料や国民年金保険料が免除されるケースもあります。
ただし、扶養者には誰でもなれるわけではない点やデメリットも考慮したうえで、扶養に入るか検討してみてください。
出典
全国健康保険協会 被扶養者とは?
一般社団法人 公的保険アドバイザー協会 公的保険の扶養と保険料負担について
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.1191 配偶者控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.1195 配偶者特別控除
厚生労働省 年収の壁・支援強化パッケージ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー