『私も旦那も働いている共働きなのに、家計苦しい・・問題点はどこにあるのか分からない』
配信日: 2018.12.12 更新日: 2024.10.10
共働きの家庭では収入も多くなるので、そのぶん家計に余裕があるのではと考えてしまいます。しかし、実際には家計に余裕がないと感じているご家庭も多いようです。
そのような家庭にはどのような問題がひそんでいるのか考えてみます。
Text:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp
お互いのお財布の状況を把握していますか?
まず、共働きの家庭ではお財布が別々になっているケースが多くあります。
結婚しても収入が大きく変わることはありませんので、独身のときのお金の管理の仕方をそのまま続けてもあまり問題を感じることはないでしょう。また、家族が一緒に住むことで生活にかかる費用はむしろ少なくなっているかもしれません。
しかし、家計を考えるうえではお互いのお財布の状況が分かっているかどうかが重要です。私の過去の相談経験では、共働き家庭での家計の管理方法は次の3パターンに分かれます。
(1)共通の支出についてはその都度それぞれ分担して出している。しかし、お互いの収入や支出は分からない。
(2)共通の支出や貯蓄する金額を決めて分担して出している。お互いの収入は分かっているが、残りのお金は自由に使っている。
(3)それぞれが使う金額を先に決めている。残りのお金で共通の支出や貯蓄をしている。いわゆる夫婦ともに小遣い制。
(1)のように、お互いの収入や支出が分からないパターンは、何かあったときに家計が苦しくなる可能性が高くなります。突然に大きな支出が必要になった場合に、貯蓄がないことで必要なお金が負担できなくなるケースです。
収入や支出がお互いに分からない場合、貯蓄額も分からない場合が多くあります。相手には貯蓄があるだろうと思っていたら、お互い貯蓄がなかったことが判明して一気に家計がピンチになることがあるのです。
(2)や(3)のケースのようにお互いのお財布の状況が分かっている場合は、いざというときに夫婦の話し合いがスムーズに進みます。家計の危機管理には大事なポイントです。
あまったお金をなんとなく小遣いにしていませんか?
共働きの家庭の場合は収入が多い分、支出も多くなる傾向があります。共通に使うお金だけを負担して、残りはそれぞれが自由に使える状況になっていると支出も多くなります。
仕事がある日は外にいる時間が長いため、それぞれの昼食代や飲み会代などでお金がかかることが多くなります。休日はせっかくの休みだからとレジャーなどでお金を使ってしまいます。あまったお金がなんとなく小遣いになってしまう状況です。
また、収入が増えたら支出はそのままで貯蓄を増やすと良いのですが、増えた分がそのまま小遣いになってしまうという例もあります。いったん増えた支出を減らすことはなかなか難しいのが実情です。あまったお金はそれぞれが自由に使って良いという考え方には、このような問題があるのです。
忙しさを理由に贅沢をしていませんか?
共働きの家庭は忙しい日々を送っています。特に子どもがいるご家庭にあてはまります。忙しいと日々の家事をする時間があまり取れないかもしれません。そのため、食事は外食や出来合いの惣菜、洗濯はクリーニングということになりがちです。
子どもの世話についても帰宅時までの保育サービスを頼むケースや、小学生低学年での預かりサービスを利用するケースもあります。また、毎日のように子どもに習い事をさせているご家庭もあります。このように、共働きの家庭ではサービスの利用が多くなる傾向があります。費用対効果を考えずにさまざまなサービスを利用すると、費用ばかり増えてしまうのです。
共働きの家庭なのに家計が苦しいと感じたときは、お金の管理がどうなっているか、お互いのお財布の状況が分かるようになっているか、少し振り返ってみてください。今だけではなく将来にかかるお金のことも考えて、お金の管理について夫婦で話し合うことが大切です。
Text:伊達 寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員