更新日: 2024.10.10 働き方
同僚が忙しすぎて、毎日「昼休み」も働いています。帰りも遅いので心配なのですが、「休憩なし」って大丈夫なんですか? 残業代などは付いているのでしょうか…?
本記事では、昼休みにおこなった労働はどう取り扱われるのかについて解説します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
正社員の休憩時間は少なくとも45分
労働基準法第34条には、「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と定められています。
つまり、正社員であれば最低でも45分の休憩時間は確保されているということです。しかし実際には、切りよく1時間で設定されている会社が多いのではないでしょうか。これは、休憩時間を45分で設定してしまうと、8時間を少しでもオーバーした日には追加で15分の休憩を与えなければならなくなり、労務管理が複雑になるのを避けるため、最初から1時間としているのでしょう。
また、「与えなければならない」となっていることから、従業員に休憩を取らせることは会社の義務であり、昼休みにも働かせる行為は違法となります。昼休みも働いた場合には、1日の労働時間が9時間となってしまうため、8時間をオーバーした1時間分に対しては残業代が支払われる必要があります。
さらに、残業代を出したからといって終わりではなく、別途休憩を与えなければなりません。
自主的に昼休みをつぶしている場合、残業代は出ないかも
ただし、昼休みの労働が残業代の対象になるのは、基本的に会社からの指示があった場合です。会社からの指示には、「昼休みも働きなさい」という直接的な指示以外にも、例えば、ランチ名目でのミーティング、昼休み中の電話対応、明らかなキャパオーバーなども含まれます。
「同僚が忙しすぎて昼休みを取らずに働いている」という状況が、仕事量が多すぎてキャパオーバーとなっていることから発生しているのであれば、会社からの暗黙の指示とみなされて、残業代の対象になる可能性が高いでしょう。
しかし、業務時間内の小休憩や同僚との雑談の時間が長いなどの理由から業務時間が足りなくなって昼休みも業務をするケースや、早く帰りたいから昼休みも業務をするケースのように、本来は必要ではないのに昼休みをつぶして働いている場合、残業代は認められないでしょう。
昼休みに働かざるを得ない場合の対策
仕事量が適切ではなく、昼休みも働かざるを得ない場合には、まず直属の上司に相談してみましょう。仕事量の多さのために休憩を取れていない事実を、上司が把握できていない可能性があるからです。上司の対応が望めなかった場合、次は会社の人事に相談します。「働き方改革」が叫ばれる現代なので、何かしら動いてくれる可能性は高いでしょう。
それでもダメな場合には労働基準監督署へ申告します。ただ、今後もその会社で働き続けるつもりであれば、名乗ることに抵抗があるかもしれません。迅速な対応が難しくなる可能性がありますが、匿名での申告も可能なので検討しましょう。
まとめ
仕事量が多すぎて昼休みも働かなければならない場合、その時間に対して残業代が支払われなければなりません。残業代が付いていない場合には違法である可能性が高いので、上司や労働基準監督署などへの相談をおすすめします。
人の集中力の限界は90分程度といわれています。仕事が忙しいと、10分、30分が惜しくなり、昼休みをつぶしてしまう気持ちもわかりますが、オン・オフを切り替えることも大切です。昼はしっかり休んで栄養を補給すると、午後からの集中力も上がるでしょう。昼休みをしっかり取っても、意外と終業時間の着地は同じになるかもしれないと同僚に伝えてあげてください。
出典
厚生労働省 労働時間・休憩・休日関係
e-Gov法令検索 労働基準法
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士