更新日: 2024.10.10 働き方

試用期間中は「月給20万円」らしい契約社員の求人に応募します。試用期間後に「正社員化の可能性あり」とのことですが、本当に正社員になれますか?

試用期間中は「月給20万円」らしい契約社員の求人に応募します。試用期間後に「正社員化の可能性あり」とのことですが、本当に正社員になれますか?
「入社当初は契約社員で、試用期間後に正社員化 の可能性あり」などといった、「試用期間に相当する期間は正社員ではな く契約社員である」という求人を見て、契約社員の求人への応募を悩んだことはありませんか? 今回のケースのように、今まさに、試用期間中は契約社員である求人への応募を、悩んでいる方もいるかもしれません。
 
そこで、入社当初は契約社員の求人でも、試用期間後は正社員になれるのか、考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

そもそも契約社員と正社員の違いは?

そもそも、契約社員と正社員との違いは何でしょうか。
 
一般的な違いとしては、契約期間の有無があります。正社員であれば契約期間がないので、辞職したり会社が倒産したりしない限り、雇用期間に定めなく働けます。一方で契約社員は、6ヶ月や1年など定められた期間のみ働くことができ、期間満了後は会社と従業員の合意があれば再度契約期間を延長することができる、という具合です。
 
そのほか、正社員と待遇が異なる場合もあります。そのひとつが給与です。
 
参考までに厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によれば、正社員・正職員の1ヶ月の平均賃金は33万6300円になっているのに対し、正社員・正職員以外は22万6600円となっています。給与面も含め、基本的にはこのように、正社員と待遇が異なっている場合が少なくありません。
 
そのほか、正社員より責任の軽い業務が中心となる、いわゆる「出世コース」の業務内容ではない、といった違いもあるケースが考えられます。
 
なお、上記厚生労働省の統計を参考にする限り、「契約社員で月給20万円」という待遇は、あまり高いとはいえないかもしれません。
 

「正社員化の可能性あり」とあっても必ずしもそうなれるわけではない

注意点として「試用期間に相当する期間は契約社員で、その後は正社員登用予定」と定められていても、必ずそうなるとは限らない点を知っておくべきです。
 
「契約社員」と「正社員の契約」はつながっているわけではなく、「有期契約」と「試用期間」とは別物です。原則として、契約社員としての契約が満了した後で、新たに正社員としての契約を結びなおすことが求められます。
 
そのため、求人票には「試用期間に相当する期間6ヶ月は契約社員、その後は正社員化の可能性あり」とあったとしても、契約社員としての期間満了をもって契約が終了することはあり得るのです。
 
仮に面接において「みんな正社員になっている」と言われたとしても、正社員化に当たっては、契約満了時の人事査定が良好であることなど、条件が定められていることも珍しくありません。
 

「正社員化あり」と言われても正社員にしないことは、違法じゃないの?

万が一、契約社員としての期間満了時に正社員になれなかったとしても、それが直ちに違法になるというわけではありません。労働契約は労使双方の合意があって成立するものです。
 
求人票や雇用契約書に「正社員としての契約を確約」と書いてある場合はともかく、「正社員化の可能性あり」などその可能性を記載してある程度であれば、自身に問題がないにもかかわらず正社員になれなくても、基本的に違法性はありません。
 
先に述べたとおり、あくまでも「契約社員」と「正社員の契約」はつながっているわけではなく、両者別々に判断するからです。
 

まとめ

試用期間に相当する期間が「契約社員」とされている求人の場合、求人票や雇用契約書などで確約されていない限り、そのまま正社員になれるとは限りません。また、非正規雇用社員の平均賃金は月額23万円程度であり、月給20万円の契約社員は、賃金だけ見ればあまり良い待遇とはいえないでしょう。
 
賃金額と、必ずしも正社員になれるわけではないことを考えると、正社員になることを目的として契約社員の求人に応募するのは、十分に考えた上での決断が必要であるといえるでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況 (6)雇用形態別にみた賃金 第6-1表 雇用形態、性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び雇用形態間賃金格差
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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