更新日: 2024.10.20 貯金
タンス預金として「100万円」が手元にありますが、銀行の金利が「20倍」になったと聞いたので、銀行に預けようと思います。全額を“普通預金”に入れるのはやめるべきでしょうか?
タンス預金を持っている場合、金利が上がった今こそ普通預金に全額を預けるべきでしょうか。実は、金利が上がったからといって、全額を銀行に預けるのはおすすめできない理由があります。
本記事ではマイナス金利政策解除と預金金利上昇の概要や、タンス預金を全額預金に入れないほうが良い理由を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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日本銀行のマイナス金利解除後に普通預金の金利が約20倍に
2024年3月19日の金融政策決定会合で、長らく日本で採用されてきたマイナス金利政策の解除が決定されました。
マイナス金利政策が解除されたため、それまでマイナス0.1%だった政策金利は0.1%に引き上げられました。金利が上がったことで、私たちの日常生活に与える影響として代表的なものが、「普通預金や定期預金の金利上昇」でしょう。
実際、マイナス金利の解除を受けて大手都市銀行(メガバンク)や、一部の銀行では普通預金の金利を年0.001%から0.02%へ20倍まで引き上げました。
タンス預金から普通預金に切り替えることで利息を得られる恩恵が大きくなった
今回のマイナス金利政策の解除に伴う預金金利の上昇によって、タンス預金をしている人がそのままタンス預金を続けるメリットが小さくなったことは間違いないでしょう。
タンス預金をどれだけ持っていても利子を得ることはできず、盗難や紛失、火災による消失(焼失)などのリスクが付きまといます。一方で、銀行の普通預金に預ければ、それだけで従来銀行に預けていたときに受け取っていた20倍の利子を得られます。
ただし、いくら金利上昇をしたからといっても、タンス預金の全額を全て預金に入れるのはおすすめしません。
20倍の金利がついても物価の上昇には追いついていない
タンス預金の100万円を普通預金に預けるケースで考えた場合、マイナス金利政策解除前の0.001%では1年預けて税金を考慮しなくても10円の利息しか付きません。一方、20倍に引き上げられて金利が0.02%になった現在では、同じ条件で200円の利息を得ることができます。
20倍の利息は魅力的に感じるかもしれませんが、物価は預金の金利ではカバーできないほど、実は大きく上昇しています。
総務省の「2020年基準消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)8月分」によると、消費者物価指数(CPI)の総合指数は2020年を100として109.1です。つまり、たった3~4年で総合的な物価が9%も上がってしまったことになります。
また、前年同月比の物価上昇率は3.0%で、普通預金の利息0.02%はもちろん、定期預金の金利も大きく上回っています。つまり、いくら金利が20倍に上がったとはいえ、全額を普通預金に預けても資産が目減りしてしまう可能性が高いのです。
資産の目減りを防ぐためには資産の一部を投資に振り向ける検討を
せっかくためたタンス預金を預けるなら、可能な範囲で積立投資にもお金を回すことをおすすめします。投資信託の「インデックスファンド」では、ベンチマークにしている指数に含まれる株式に分散投資することが可能です。
会社は物価上昇の際は価格を上昇させて利益を増やすことができ、物価上昇と連動して株価も上昇する傾向にあります。株式に投資する投資信託なら物価上昇によるインフレ対策としても有効です。
例えば、世界中の株式に分散投資できる「三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という商品では、過去5年のトータルリターンが年率18.74%(2024年9月30日時点)になっています。
新NISAやiDeCoといった非課税の仕組みを活用し、これらの投資信託に投資することができれば、インフレを超えるペースで資産形成を進めることもじゅうぶんに可能でしょう。
まとめ
普通預金金利が20倍になったからといって、物価の上昇を超えるほどの利子を得ることはできないのが現状です。安全資産として資産の一部を銀行に入れることはもちろん大切ですが、資産形成が目的であれば物価上昇やインフレに強い投資信託や株式への投資を検討しましょう。
出典
日本銀行 金融政策の枠組みの見直しについて
三井住友銀行 円預金金利
総務省 2020年基準消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)8月分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー