更新日: 2024.10.19 その他家計
定年退職したら退職金をめいっぱい使って「プリウス Zグレード」を買いたいです。独身で貯金も300万円あるのでいいでしょうか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「プリウス Zグレード」の購入価格はいくらくらい?
定年時に多額の退職金が手に入るため、定年後は現役時代に購入できなかった高額な車を購入しようと考えている方もいるのではないでしょうか。
まずは、「プリウス Zグレード」の購入価格についてみていきましょう。
表1
モデル | 価格 |
---|---|
プリウス Z(プラグインハイブリッド) | 460万円 |
プリウス Z(ハイブリッド) | 370万円~392万円 |
出典:トヨタ自動車株式会社 トヨタ自動車WEBサイト「プリウス」を基に筆者作成(2024年10月現在)
「プリウス Zグレード」は、先進のハイブリッドモデルであり、力強い走りと低燃費の両立を実現した車です。予防安全パッケージやパーキングサポートブレーキなどが搭載されており、高い安全性能を誇るため、老後に乗る車としても安心できるでしょう。
プリウスにはさまざまなグレードが用意されており、Zグレードのスペックは最上位に位置します。
退職金の平均的な支給額は?
次に、退職金の平均額を把握して、プリウスが購入可能かどうかみていきましょう。
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者における1人あたりの平均退職給付額は表2の通りです。
表2
学歴 | 退職給付制度(一時金・年金)計 |
---|---|
高校卒(現業職) | 1183万円 |
高校卒(管理・事務・技術職) | 1682万円 |
大学・大学院卒(管理・事務・技術職) | 1896万円 |
出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」を基に筆者作成
学歴によって支給額が異なるものの、いずれも1000万円以上となっています。「プリウス Zグレード(プラグインハイブリッド)」を購入する場合には、500万円ほどの退職金が残る計算になります。
年金受給額と老後の生活
退職金を好きなことに使いたいと考える方も多いかもしれませんが、老後の生活についてもしっかりと計画しておく必要があります。ここからは、平均的な年金受給額についてみていきましょう。
表3
本人の年齢 | 本人の公的年金平均額(年額) |
---|---|
65歳以上70歳未満 | 144万4000円 |
70歳以上75歳未満 | 146万5000円 |
75歳以上80歳未満 | 148万9000円 |
80歳以上85歳未満 | 157万3000円 |
85歳以上90歳未満 | 165万4000円 |
90歳以上 | 164万9000円 |
出典:厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」を基に筆者作成
月あたりに換算すると、月々12万円~14万円程度です。総務省統計局による「家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要」では、65歳以上単身無職世帯の1ヶ月の消費支出は平均14万5430円となっていることから、公的年金だけでは生活費が毎月ギリギリか、足りなくなる恐れがあります。
公的年金以外の収入がある場合には問題ないかもしれませんが、退職金や貯蓄を取り崩しながら生活することを考えている方は、しっかりとした資金計画が必要です。
退職金で高額な車を買っても問題ない?
定年退職後に退職金を受け取り、年金のみで生活する場合に、高額な車を購入しても生活に支障がないか考えてみましょう。
年金支給は、仮に月12万円が65~90歳までの25年間続いたとします。65歳以上の単身無職世帯の平均的な消費支出を考慮した場合、年金に加えて月あたり約3万円が必要です。90歳までに必要な金額は、12ヶ月×3万円で年間約36万円、25年×36万円で90歳までに約900万円必要な計算になります。
一方で、退職金1000万円、貯蓄300万円の方の場合には合計1300万円となり、車を購入しなければ退職金と貯蓄で毎月の赤字分を補えるかもしれません。しかし「プリウス Zグレード」を購入した場合には、退職金と貯蓄の残高が800万円程度となり、老後の生活に影響を与える可能性があります。
このような場合には、日々の生活で節約したり、年金以外で収入を得たりするなどの対策が必要です。
将来のライフプランと資金計画を考えよう
将来のライフプランと資金計画を立てることは、安定した老後を過ごすために非常に重要です。
まず、自分がどのような生活を送りたいか、どの程度の生活費が必要かを具体的にイメージすることが重要です。老後の収入は年金に限られるケースが多いため、現役時代にどれだけの貯蓄や資産を築けるかが大きなカギとなります。
また、医療費や介護費用といった不測の出費に備えることも忘れてはなりません。資金計画では、年金や退職金に加えて、貯蓄や投資の活用を検討することも重要です。
例えば、定期的な貯蓄に加えて、資産運用や不動産投資などを通じて資産を増やす手段を取り入れることで、老後の資金を効率的に確保することができるでしょう。さらに、ライフプランに応じて、定年退職後も働く選択肢について検討してみてもよいかもしれません。
出典
トヨタ自動車株式会社 トヨタ自動車WEBサイト
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 4 退職給付(一時金・年金)の支給実態 (3)退職給付制度の形態別退職給付額(定年退職者) 第23表 退職給付(一時金・年金)制度の形態別定年退職者1人平均退職給付額(勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者)
e-Stat政府統計の総合窓口 厚生労働省 年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年 表番号1 性別・本人の年齢階級別・本人の公的年金年金額階級別 受給者数
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ)
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