最近、本はほとんど「kindle」で買っています。もしAmazonが倒産したら、kindle本は読めなくなりますか? 安くて場所も取りませんが、「紙の本」よりリスクがあるのでしょうか…?
配信日: 2024.10.20 更新日: 2024.10.21
本記事では、電子書籍のメリットとデメリット、運営会社がなくなった場合のリスクなどを紹介します。
執筆者:橋本典子(はしもと のりこ)
特定社会保険労務士・FP1級技能士
電子書籍と紙の本
電子書籍を利用する人が年々増加しているようです。
文化庁が2024年に行った「国語に関する世論調査」によると「普段、電子書籍(雑誌や漫画も含む)をよく利用する」が 15.0%、「たまに利用する」が 25.3%で、両方の合計が40.3%という結果でした。
調査方法に変更があり単純な比較には注意が必要ですが、2013年に行った同様の調査では「よく利用する」と「たまに利用する」の合計が17.3%だったことから、ここ10年程で電子書籍を利用する人は倍以上に増えたことになります。
では、電子書籍の良い点は、どのようなところなのでしょうか。
電子書籍の良いところ
まず「かさばらない、重くない、保管場所が必要ない」といったことが挙げられます。電子書籍は、端末さえあれば何冊もの本を携帯できるため、外出や旅行などの際の利用にも便利でしょう。
紙の本のように燃えたり破れたりすることもなく、スマホやパソコンが壊れても新しい端末に再ダウンロードできるため、災害時には紙の本より電子書籍のほうが安全ともいえそうです。
また、電子書籍は紙の本より価格が低いことが多く、ポイント還元などのサービスもあるため、コストパフォーマンスも良いと思われます。
電子書籍のリスク
しかし、電子書籍は良い点ばかりではありません。kindle本の例で考えてみましょう。
紙の本は「この本、面白いよ」と友人に気軽に貸してあげられますが、kindle本の貸し借りには制約があり「1 回につき 14 日間以内」と決められています。また、紙の本は読み終わったら古本として売却できますが、電子書籍はできません。
さらに、運営会社であるAmazonがなくなったり、電子書籍事業を中止したりするリスクも、完全にゼロとは言い切れないでしょう。
運営会社がなくなると
もし、Amazonのような電子書籍運営会社が電子書籍サービスから撤退すると、購入した電子書籍は読めなくなってしまうのでしょうか。
しばらくは読める
Amazonがkindleの運営をやめても、ダウンロードした電子書籍は、しばらくの間は閲覧できます。ただし再ダウンロードはできません。
Amazonを例に取れば、kindleのアプリ自体もAmazonが運営しているため、撤退以後はアプリの更新もなくなりダウンロードもできなくなります。そのためスマホやパソコンを買い替えると、購入したkindle本は読めなくなってしまうでしょう。
紙の本は購入すれば「ずっと自分のもの」になりますが、電子書籍は「ダウンロードして読む権利」があるのみなので、仕方がないとも考えられます。
サービス終了した電子書籍は
過去にサービスを終了した電子書籍には、TSUTAYA.com eBOOKs、ヤマダイーブック、楽天Raboo、地球書店などがありますが、購入分の一部をポイントで返金したり、他社にサービスを引き継いだりするなど、何らかの措置を講じている会社が少なくないようです。
例えば、2014年にサービスを終了したTSUTAYA.com eBOOKsは、BookLive! にコンテンツを移行し、引き続き読めるようにしたほか、一部読めなくなった作品の分についてはTポイント還元により対応しました。
Amazonが電子書籍から撤退することは考えにくいのですが、万が一撤退するとしても、どこかの会社にサービスが引き継がれる可能性が高いでしょう。
まとめ
kindleのような電子書籍は、携帯性に優れ物理的なダメージにも強いといった便利さがありますが、運営会社の状況によってはサービス終了のリスクがあることも否めません。過去にも電子書籍運営会社が撤退した例は少なくなく、Amazonのような大手でも撤退の可能性がゼロではないでしょう。
電子書籍の利便性と引き換えに、多少のリスクは割り切ったほうがよいかもしれません。
出典
文化庁 令和5年度「国語に関する世論調査」の結果の概要
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士