更新日: 2024.11.28 働き方

住宅手当を毎月「3万円」もらっていますが、これにも税金はかかりますか?自分で家賃を全額支払った方が「手取り」は増えるでしょうか?

住宅手当を毎月「3万円」もらっていますが、これにも税金はかかりますか?自分で家賃を全額支払った方が「手取り」は増えるでしょうか?
賃貸住宅に住んでいる従業員に会社から支払われるケースのある手当のひとつに「住宅手当」があります。家賃の負担が軽くなるため助かる面もありますが、住宅手当は給与所得の一部として扱われるため、以前よりも給料から差し引かれる税金が高くなる場合があります。
 
社宅のある会社であれば、場合によっては、住宅手当を受け取って賃貸に住むよりも社宅を利用した方がお得なケースもあるため、実際に手取りがいくら変動するかは一度確認しておきましょう。今回は、住宅手当を受け取ったときと受け取っていないときの税額の差についてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

住宅手当も給料として課税対象

国税庁によると、給与所得は「使用人や役員に支払う俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得」です。住宅手当や扶養手当を始めとする各種手当も給与所得扱いになります。
 
また、住宅手当がなくとも、無料や非常に低い賃貸料で社宅を借りているといった現物支給の形のときも、原則として給与所得の対象です。
 
ただし、仕事の性質上から考えて従業員が仕事をするために必須なため支給されているときなどは、金銭による給与とは違う扱いが決められています。住宅手当ではなく現物支給のときは、扱いがどうなっているのか会社に確認しましょう。
 
ただし、手当と呼ばれるものでも、以下に該当する場合は非課税です。

●一定金額以下の通勤手当
●通常必要と認められる範囲の転勤や出張費用
●一定金額以下の宿直や日直手当

 

自分で家賃を支払ったときと毎月3万円の住宅手当を受け取ったときの税額の差

今回は、以下の条件で住宅手当の有無による税額の差を比較しましょう。

●40代東京都在住
●賞与は考慮しない
●基礎控除、給与所得控除、社会保険料控除以外の控除は考慮しない
●住宅手当を含まない年収は600万円
●健康保険料と厚生年金保険料は全国健康保険協会の「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を参照

もし毎月3万円の住宅手当を受け取っていると、年収は36万円増加した636万円になります。条件を基にした料金の比較は表1の通りです。
 
表1

住宅手当を含まない
(年収600万円)
住宅手当を含む
(年収636万円)
月収 50万円 53万円
健康保険料および介護保険料(年額) 34万7400円 36万8244円
厚生年金保険料(年額) 54万9000円 58万1940円
雇用保険料(年額) 3万6000円 3万8160円
社会保険料合計額 93万2400円 98万8344円
給与所得控除 164万円 171万2000円
税金の計算に使う金額 342万7600円 365万9656円
所得税基礎控除 48万円
所得税の課税金額 294万7000円 317万9000円
所得税の税率と控除額 10%、9万7500円
所得税額 19万7200円 22万400円
住民税基礎控除 43万円
住民税の課税金額 299万7600円 322万9656円
住民税の税率と均等割額 10%+5000円
住民税額 30万4760円 約32万7966円

※筆者作成
 
表1の金額を基にした住宅手当の有無による手取り金額は以下の通りです。

●住宅手当なし:456万5640円
●住宅手当あり:482万3290円

住宅手当を受け取っているときの方が、受け取っていないときよりも社会保険料は5万5944円、所得税は2万3200円、住民税が2万3206円高くなる結果です。合計すると、住宅手当があると年収から10万2350円高く引かれることになります。
 
なお、ほかの控除や手当の金額によっては、金額の差も変動する可能性がある点に留意しておきましょう。
 

社宅は条件を満たしていれば税金がかからない

賃貸を借りて住宅手当を受け取るのではなく、社宅を借りている場合は、条件を満たしていれば非課税になります。国税庁によると、社宅の1ヶ月あたりの家賃が賃貸料相当額の50%以上であれば、家賃と賃貸料相当額との差額は給料として課税されません。
 
従業員が直接契約している場所の家賃は非課税の対象に含まれないため、自分で借りて住宅手当をもらうより、社宅がある場合は利用した方が税金の負担は軽くなる可能性があります。
 

住宅手当がない方が税金は安くなる

住宅手当を始めとする各種手当は、基本的に給料の一部として社会保険料や税金の計算に含まれます。今回試算した結果によれば、仮に毎月3万円の住宅手当を受け取っていると、受け取っていない場合よりも年間で約10万円高い税金を給料から差し引かれる計算です。
 
もし少しでも給料から引かれる金額を少なくしたいときは、住宅手当を受けないでいるか、社宅がある場合は社宅の利用も検討しましょう。社宅は、一定条件を満たしていれば給料の税金計算には含まれません。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2508 給与所得となるもの
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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