40代のパート主婦。「103万円の壁」を意識して働いていましたが、シフト増を検討中。「106万円・130万円の壁」になると、どう変わる? それぞれの違いを解説

配信日: 2024.12.12

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40代のパート主婦。「103万円の壁」を意識して働いていましたが、シフト増を検討中。「106万円・130万円の壁」になると、どう変わる? それぞれの違いを解説
給料の手取り額が減るのを避けるために、「年収の壁」を意識して労働時間を抑えているパートやアルバイトの人は多いでしょう。しかし、年収の壁にはいくつかの種類があることや、そもそも壁を越えたらどうなるのかは、よく分かっていない人もいるのではないでしょうか。
 
本記事では、「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」という代表的な3つの年収の壁について解説します。なお、本記事は2024年12月9日時点の情報に基づきます。
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「年収の壁」とは?

年収の壁とは、所得税や社会保険料の支払いが発生するボーダーラインとなる年収額のことです。年収の壁は大きく3つに分けられます。
 

・税金に関わる「壁」
・社会保険に関わる「壁」
・配偶者手当に関わる「壁」

 
「103万円」は税金に関わる壁、「106万円」と「130万円」は社会保険に関わる壁にあたります。なお、配偶者手当に関わる壁については支給条件が会社によって異なるため、今回の記事では解説しません。
 

「103万円の壁」は所得税の支払いが発生するライン

年収が103万円を超えると、所得税の支払いが発生します。所得税は、年収から103万円を引いた金額に税率をかけて算出されます。
 
例として、年収110万円の人の所得税額を計算してみましょう。税金に関わってくる所得(課税所得)は「110万円-103万円=7万円」です。年収が195万円未満の場合の税率は「5%」ですので、所得税の金額は「7万円×5%=3500円」となります。
 
103万円という金額が年収の壁となる理由は、年間の所得から差し引かれる「基礎控除」と「給与所得控除」を足した金額が103万円になるからです。控除額よりも年収が上回ると、所得税がかかります。
 

「103万円の壁」は子どもが扶養から外れるラインでもある

子どもの年収が103万円を超えると、親は「扶養控除」を受けられなくなります。扶養控除とは、納税者が子どもなど親族を養っている場合に受けられる所得控除です。
 
扶養控除が受けられなくなると課税所得が増えてしまい、所得税も高くなってしまいます。親の納税額を減らすために、子どもがアルバイトなどをする際には年収103万円以内に収まるように働いてもらう、といった対策が有効です。
 

「106万円の壁」と「130万円の壁」は社会保険料の支払いが発生するライン

「106万円の壁」と「130万円の壁」は、どちらも社会保険料の支払いが発生する金額です。社会保険料の内訳は、「健康保険料」と「厚生年金保険料」の2つです。
 

「106万円の壁」は従業員が51名以上の企業の従業員が対象

年収が106万円以上だと、勤めている会社の規模によっては社会保険料がかかり、手取りが減ります。2024年12月現在、社会保険料がかかる条件は「従業員が51名以上の企業に勤めている」ことに加え、「週20時間以上」働いている、「月額賃金が8万8000円以上」である、などがあります。
 
40代の女性が年収106万円を稼いだとき、月々どれくらいの社会保険料を支払うのでしょうか? 全国健康保険協会が公表している保険料額表によると、東京都の場合、自己負担額は健康保険料が「5095.2円」厚生年金保険料が「8052円」となっています。
 
円未満の端数0.2円は切り捨てとなるため、合計すると「1万3147円」です。毎月の手取り額が1万3000円以上減ってしまうため、106万円の壁は一般に強く意識されています。
 

「130万円の壁」はあらゆる企業の従業員が対象

年収が130万円以上になると、すべての企業の従業員が社会保険料を支払うことになります。40代の女性で東京都の場合、支払う金額は健康保険料が「6369円」厚生年金保険料が「1万65円」となっており、合計「1万6434円」です。
 
なお、40歳未満の従業員の場合、介護保険料がかからないため、上記の金額よりも健康保険料が安くなります。
 

年収の壁を意識した働き方をしよう!

年収の壁にはいくつかの種類が存在することを紹介してきました。「103万円の壁」は所得税が発生する金額のことです。「106万円の壁」と「130万円の壁」は、社会保険料の支払いが発生する金額です。
 
社会保険料の負担は所得税と比べて重いですが、年金の支給額が増えるなどのメリットもあります。現在の負担と将来のメリットを比較しつつ、どのように働くのが最適か判断するとよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 『年収の壁について知ろう』あなたにベストな働き方とは?
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1180 扶養控除
全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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