会議準備のため「始業30分前」に自主的に早出! 上司から「ちょっとだけ」と仕事を頼まれたけど、残業代はどうなるの? 早出が労働時間に「なる・ならない」ケースを解説
配信日: 2024.12.12
しかし、上司から別の業務を依頼された場合、「これは残業代の対象になるのだろうか」と疑問を抱くことがあるかもしれません。本記事では、早出の業務が労働時間として認められる条件や、残業代を請求する際のポイントを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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早出で頼まれた仕事は「残業」に当たるのか? 基本ルールを確認
労働基準法では、働く時間帯に関係なく時間外労働に対しては残業代が発生します。1日の労働時間は原則として8時間、1週間では40時間までとされており、これを超えた労働は全て時間外労働として扱われます。
そのため、早朝の時間帯であっても労働基準法上の労働時間を超えて働いている場合には、割増賃金の対象になります。ただし、早出をして会社にいた時間の全てが残業になるわけではありません。一定の条件を満たした早出出勤に対してのみ残業が認められます。
「自主的な早出」と「会社指示の業務」の違いとは?
自主的な早出とは、社員自身の判断で始業前に出勤し、業務の準備や自己学習などを行うことを指します。
この場合、会社が業務として指示しているわけではないため、労働時間には含まれません。例えば、自己判断で早く来て資料を確認するだけでは残業代の対象外となりません。
一方、会社指示の業務とは、会社や上司からの指示を受けて行う仕事を指します。例えば、早出中に上司から「この書類を早急に処理しておいて」と指示され、早出時間内に対応しなければ業務に支障が出る場合、それは労働時間として認められる可能性があります。
また、明確な指示がなくても、会社が早出勤務を黙認し、その働きで利益を得ている場合には「労働」とみなされるケースもあります。この違いを把握し、自分の早出がどちらに該当するかを確認することが重要です。
上司からの依頼が増えた場合、残業代はどうなる?
早出中に上司からの依頼が増え、それが日常化している場合は労働時間として認められる可能性が高いです。
労働基準法では、会社の指示や依頼に基づく業務は、働いた時間として計上することが求められています。たとえ上司から「ちょっとこれお願い」と軽い口調で頼まれたとしても、実質的に業務命令であれば残業代の対象となります。
特に注意したいのは、「暗黙の了解」があるケースです。上司からの依頼が頻繁になり、それを断れない雰囲気がある場合、それは自主的な行動とはみなされず、会社の責任が生じる可能性があります。
残業代を請求するために必要な準備
残業代を請求するには、労働時間を正確に記録することが重要です。早出勤務中に上司から指示された業務については、日時や内容、対応時間を詳細にメモしておきましょう。
記録の形式は、手書きでもデジタルでも構いません。また、メールやチャットで指示があった場合は、そのやり取りを保存しておくことが有効な証拠になります。
残業代を請求する際は、上司や人事担当者に冷静かつ丁寧に相談することが大切です。感情的にならず、あくまで事実と証拠を基に話を進めましょう。また、話し合いが難航した場合は、労働基準監督署に相談するという選択肢もあります。
まとめ
早出中に上司から業務を頼まれた場合、それが会社の利益に該当するのであれば、残業代を請求できる可能性があります。そのため、指示された内容や働いた時間を正確に記録しておくことが重要です。
また、朝残業の申請や勤怠管理に関して疑問がある場合は、事前に人事や総務担当者に確認しておくと安心です。早出の時間が「好意」や自己負担で済まされないよう、労働時間のルールを理解し、適切に対処することが求められます。
出典
厚生労働省 法定労働時間と割増賃金について教えてください
e-Gov法令検索 労働基準法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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