最近「家庭ごみ有料化」のニュースをよく見かけます。今も可燃ごみ袋を「10枚300円」で買っていますが、有料化するともっと高くなるのでしょうか?
配信日: 2025.01.19
本記事では、家庭ごみ有料化の仕組みや、今からできる節約方法について分かりやすく解説します。
執筆者:古澤綾(ふるさわ あや)
FP2級
ごみ有料化を実施している自治体
2022年度の環境省の調査では、粗大ごみを除いた可燃ごみや不燃ごみ、資源ごみなどの一部または全部を有料化しているのは、図表1のとおり、全国1741市区町村のうち1162市区町村で全体の66.7%でした。
図表1
環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和4年度)について
では、現在もごみ袋を有料で購入しているケースと、家庭ごみの有料化にはどのような違いがあるのでしょうか。
ごみ袋が有料とは
「家庭ごみの有料化」が実施されていないにもかかわらず、市区町村指定のごみ袋を購入している人は多いのではないでしょうか。この仕組みは、「家庭ごみの有料化」ではなく、基本的に袋自体の価格となっており、価格は各販売店によって異なります。
可燃ごみ、不燃ごみなど市区町村により指定の袋を使うことで、ごみの分別を徹底させる効果があります。また、色や形、大きさが均一となるため、収集を効率的に行うことも狙っているのです。
家庭ごみの有料化とは
家庭ごみの有料化は、「ごみを出すこと」自体に料金がかかる仕組みです。環境省では、有料化の方式として、次の5種類に分類しています。それぞれの具体的な例を説明します。
・排出量単純比例型:手数料を含んだごみ袋を使用する枚数分の手数料を負担する
・排出量多段階比例型:ごみ袋の枚数分の手数料を負担するが、一定量以上は料金水準が上がる
・一定量無料型:一定量までは自治体がごみ袋やシールを配布し、それを超えると自身で購入する
・負担補助組合せ型:一定無料型と同じ仕組みだが、一定量よりもごみが少ない場合はごみ袋などを自治体に買い取ってもらえる
・定額制従量制併用型:一定量までは手数料が一律で、それを超えるとごみの排出量に比例して手数料を負担する
なお、このうち排出量単純比例型を取り入れている自治体が、全体の91.2%となっています。
有料化でどのくらいの負担が増える?
では、家庭ごみの有料化により、家計にはどのくらいの影響が出るのでしょうか。環境省によると、家庭ごみの大袋(30~50リットル)の料金水準は、1袋あたり30円から50円台の上乗せが最も多い結果となっています。
例えば、これまで45リットルの可燃ごみ袋を週に1回使用していた家庭の場合を考えてみます。10枚300円で可燃ごみ袋を購入していたとすると、1年間は約52週のため、年間で約1500円かかっていたことになります。
家庭ごみの有料化により、可燃ごみ袋1枚あたり40円上乗せとなった場合は、ごみ袋の本体価格とごみ処理手数料を合わせて10枚あたり700円ということになります。同じだけの可燃ごみを捨てるには、1年で約3600円かかることになるでしょう。
このほか、不燃ごみは手数料が可燃ごみよりも高くなるケースもあり、ほかのごみを捨てるための手数料がこれまでよりもかかる可能性があります。
家計への負担を減らすための3つのポイント
家庭ごみの有料化で、家計への負担が少なからず増える人が多いでしょう。そこで、家計への負担を減らすための3つのポイントを紹介します。
・ごみの分別を徹底する
・生ごみの量を減らす
・買い物時の工夫
これらの工夫で、ごみ有料化実施後に年間10%以上の可燃ごみを削減した自治体もあります。では、ポイントについて順番に見ていきましょう。
ごみの分別を徹底する
自治体のルールにもよりますが、リサイクルできる紙やプラスチックなどの資源ごみを、可燃ごみとしっかり分別することで、ごみの量を減らせます。厚紙や新聞紙、段ボールなどの紙類を町のリサイクルステーションなどへ持ち込みリサイクルすることで、可燃ごみ指定袋の使用枚数を少なくできます。
生ごみの量を減らす
生ごみは重さもあり、かさばります。また、特に夏場などは生ごみを早く処分したくて、ごみを頻繁に捨てることにもなるでしょう。生ごみ処理機を使ったり、水分をしっかり切ったりするなど、生ごみを少なくする工夫をしてみてください。家庭菜園をしている人なら、堆肥として活用するのもおすすめです。
買い物時にひと工夫する
買い物の際に、無駄な包装が多い商品を避けるなど、そもそもごみを出さないことを意識することも大切です。また、安いからなどの理由で買いすぎるのをやめ、食品ロスを減らすこともごみの削減につながります。
まとめ
家庭ごみの有料化は、家計に負担となる可能性がありますが、日頃の工夫次第で負担を軽減できます。まずは、ごみの分別や生ごみの減量を意識し、できるだけごみの量を減らすことを目指しましょう。
ごみを減らすことは、家計の節約だけでなく、環境保護にもつながります。有料化をきっかけに、より環境に配慮した生活を送ってみてくださいね。
出典
環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和4年度)について
環境省 一般廃棄物処理有料化の手引き
執筆者:古澤綾
FP2級